高崎エコキュート裁判 1   20120922


低周波音被害の方々へ 
ボランティアと称する団体に安易に調査・測定等を依頼することは危険が伴います。"無料・任意の喜捨"を標榜しながら、突然、高額の請求をする団体もあるようです。事前の確認をしっかりとなさってください。     
 


































20101224日、隣家が入居し、エネファームの本稼働が始まったが、その翌日から、私は不眠に陥り、その原因を求めてネットを徘徊した。その時、公調委係属事件一覧にこの事件を見つけた。118日、井坂弁護士ブログで、それまでの経過を知ることになり、以来ずっとその動向を見守っている。

説明: http://j.gmobb.jp/lowfrequencysound/ekokyutomin_shi_su_song/Media/transparent.gif 20092、高崎市在住S氏は、新築の隣家エコキュートにより体調不良となり、隣家に改善策を求めた。しかし、隣家はそれに応じない。高崎市環境局に相談したが、結局、S氏は群馬県公害審査会に調停申請。結果は、合意の見込みなしということで、調停は即日打ち切りとなった。相手方が良識のある市民なら、民民問題は当然、話し合いで解決する。しかし、エコキュートもエネファームも、派手なCMにより光熱費が安くなる「お買い得」で消費者を洗脳する。またこれら製品を購入し、「地球温暖化防止」に貢献していると自負する人々は、その機器の負の面をなかなか理解しようとしない。確かに、これらの製品は補助金付の政府推奨の製品であり、何ら疑問を抱かず、「知らないうちに」加害者になってしまった人もいるであろう。しかし、要は自ら所有する機器が原因で、隣人が健康を害し、苦しんでいる事実を知って、所有者がどうするかである。被害に遭いながら、気を遣い、苦情を言う隣家に良識ある所有者なら耳を傾けるだろう。あるいは費用負担までして移設をお願いする隣家を拒絶などしないだろう。知らなかった事とはいえ、そのような苦痛を与えて申し訳ない、と通常なら移設に同意するのではないか。高崎エコキュート裁判は所有者に良識があれば裁判に至らずとも解決した問題であったと思う。しかし、良識のある隣人であるか否かは確率の問題。そのためには、行政介入と規制が必要である(製造者、施工会社が当然、隣家に配慮すべきではあったが、これら事業者の倫理観などすでに消失し、まともな判断などできないようだ。プロとしての誇りもなく、事業者は規制がないと何もしようとはしない)。

2011年の松戸市の事例総務省 公調委「ちょうせい」寄稿であるが、松戸市はエコキュート苦情の電話相談を受け、苦情受理、現地調査(測定)を経て、報告書を元に所有者・事業者との仲介をした。事業者は機器を交換及び移設をしたが、苦情から移設終了までわずか40日ほどである。行政には強制力はないが説得力はあり、住民間の話し合いでは難航するものでさえ、行政介入によりあっさり解決することもある。

 行政はこのような民民問題に積極的に介入し、トラブルの発生状況を知ることによって、トラブルを未然に回避する手段を講じることが可能になるのではないか。例えば、業者が確認申請する際に、問題が予想される事例に対し、適切な指導を行なえば(、S氏や当方隣家のような非常識な機器の設置は行われなかったであろう。多くの自治体が民民不介入の立場をとっているのが現状であるが、市民の問題から目を背けていれば、エコ給湯器がさらに普及する時代に混乱は避けられない。
 
 高崎と松戸。同じエコキュートの苦情であったが、被害宅2軒は明暗を分けた。S氏及びS氏ご家族のこの3年半を考えると、胸が痛む。体調不良の中、絶望に襲われながら、一縷の希望を持ち、各種機関にS氏は足を運んだだろう。しかし、徒労に終わり、結局、裁判に至った。そして、20117月提訴してからも既に1年以上が過ぎる。 
 
 社会は変貌し、民民不介入とする時代は去った。かつての地域社会には、深夜運転をする機械などもちろん皆無であったが、今や想定外の問題を内包する家庭用給湯器が、地域社会に普及し、夜の静けさに低周波音と騒音をまき散らす。近隣への配慮が一層求められる時代になりながら、地域の住民同士は、関わりが希薄となっており、健康で安全な市民生活には、行政が実態を正しく把握し、建築・機器設置に関する厳しい規定・条例を作ることが必要ではないだろうか。岩手県滝澤村のような対応を期待している。



S氏とご家族を苦しめている
エコキュート 
寝室から2mの所に設置




  *山形県の住宅会社のブログ(2010年4月)によると、
「市建築課に確認申請を提出すると、エコキュートを設置するかどうかを尋ねられ、設置する場合は、できる限り、隣地境界線よりできるだけ離すように、指導されるそうです。」とある。
 多くの自治体は野放しであるが、山形県内のこの市役所は行政指導をするのは立派だ。建築の設計者がこんな指導を行政にされるなど、建築のプロとしては恥だとは思わないのだろうか。

 上の写真のような建築を平然とする〇〇ハウスの設計者は、よほど危険予知能力が低いのか、判断力がないのか、無知なのか、施主の言いなりなのか、・・・。
 無能と倫理観の欠如をさらけ出しているようなものである。