低周波音SOS  20120623  

静岡県伊豆半島における風力発電 有識者会議第一回、二回議事録より 


 2011年4月から10月にかけて4回にわたり、静岡県伊豆半島における風力発電に関する有識者会議が行われました。風車による低周波音のために、不眠等の症状に悩まされる近隣住民の苦情を深刻に受け止め、そのうえで、静岡県のエネルギー問題を考えるという趣旨でした。
 委員の一人であるH氏は、低周波音とは逆に、周波数が高すぎて人には聞こえない超高周波音について研究されてきた方です。超高周波音が人体に及ぼすポジティブ効果については学界では否定されていましたが、20年という歳月を経て、定説を覆すことができたとお話になっていました。超高周波音は熱帯雨林の環境音や民族音楽(ガムラン、雅楽、ホーミーなど)の音に含まれます。バリ島のガムランが快感や陶酔を人にもたらすことは周知の事実ですが、この現象の科学的解明にH氏は着手され、長年の研究の結果、超高周波音が基幹脳の血流を高め、快さを現す脳波であるα波を増強し、免疫活性を上昇させるなど、心身を癒す効果(ハイパーソニック・エフェクト)を持つことを突き止められました。また、驚くべきことに、耳には聞こえない超高周波音は、体表の感覚器が受容することも明らかになり、超高周波音と同様、耳には聞こえない超低周波音が、超高周波音とは逆に、不快な症状を引き起こし、悪影響を健康にもたらす可能性は十分にあると考えられています。実際、国際的な脳科学の教科書には、低周波振動で、頭痛、不快感、強いときには内臓破裂もあると記載されておりますし、低周波音被害の原因となる風車には自治体として慎重になるべきだと、また、郷土の特色を生かしたエネルギーを考えるべきだとH氏は発言されました。

このH氏の発言のあった第一回会議にL氏は欠席で、L氏は第二回会議で次のように述べています。残念ながら、その時はH氏が欠席で、L氏は言いたいことを言ったように見えます。でも、おかげでL氏のお考えを知ることができました。

 以下は、第2回有識者会議議事録から、L氏の発言からの抜粋です。

@   低周波音について誤解が非常にあって、低周波音関係の研究をやっている立場からすると、非常にじくじたるも
   のがあります。・・・・・

A  低周波数領域の聴覚を研究している研究者は、日本にはほとんどいないのです。 
B  その中で、アノイアンス、いわゆる音が気になってしょうがないという方たちは、たくさんいらっしゃるのです。音
   が気になってしょうがないということは、「直接的な病気ではありません」と言っているわけです。というのは、
   低周波数領域の音を聞くことによって、直接的に病気になることはほとんどありません。ただし、それを1年、2年
   、3年連続的に暴露される。そうすると、それによってストレスがたまっていく。そのストレスがたまることによって
   何が起きるかというと、自分の体の中に内部疾患があったときに、そのことがトリガーになって発現するという
   ことがありうるだろうと言われていて、お医者さんも、そういうことがあるのではないかと言っています。

C  低周波数領域の音が聞こえるということは病気でも何でもないので、お医者さんとしては研究をするターゲッ
   トは何もないと言っております。ですから、お医者さんは患者がいないと研究が始まらないということを言われ
   たのです。しかしながら、社会的に苦情を訴える方がいらっしゃって、眠れないという方もいらっしゃるので、そう
   は言わないで、何とかやる方法はありませんかという話をしました。・・・低周波数領域の聴覚を研究している研
   究者は日本にはほとんどいないのです。

L氏は、「日本で、低周波音領域の聴覚を研究している研究者はほとんどいない」と述べておられます。汐見医師の存在が“まったく”ではなく、“ほとんどいない”という言葉に表されていると思いますが、低周波音被害研究の汐見医師の知見に言及することなく、医学の教科書を無視して、医師でもない者が「低周波数領域の音を聞くことによって、直接的に病気になることはほとんどありません。」などと何故断言できるのでしょう。公の場所でのこのような発言は医師法違反です。環境省でさえ、まだ、低周波音と健康被害の因果関係は不明であるという見解です。

 通常の人でも長期間、夜通しサイレンの音を聞かせ、不眠で疲れ果てれば、ほぼ確実に何らかの病気を引き起こすであろうことは、証明の必要もありませんが、そんな時に、「サイレンの音が気になってしょうがないということは、『直接的な病気ではありません』と言っているわけです。」とか「サイレンの音が聞こえる事によって、直接病気になることはほとんどありません。ただし、それを1年、2年、3年連続的に暴露される。そうすると、・・・・・云々」などと言えば奇妙で空疎で意図的に屈曲した発言だと思われるでしょう。誤解を恐れずに例えると、低周波を感じやすい人にとっての低周波音とは、普通の人に対する鳴り続けるサイレンと同じようなものです。苛立たせ、睡眠と休息を奪い、疲労を回復できず、体力を消耗し、その結果、免疫力が落ち、命を脅かすことになるわけですが、その事についてL氏は、それは直接的な病気ではなく、いずれ病気になっても、本来持っていた疾患が発病したにすぎず、「それを低周波音の被害とは言わない」とでも仰りたいのでしょうか。言葉遊びをしているようにも受け取れます。

 音という名が付けば、“聞こえる”、“聞こえない”の話になってしまい、可聴域以外の低周波音は、聴覚的には「聞こえない」のだから、何の問題もないという考え方は、私のような素人でも非科学的であると思います。超低周波音は、人の耳には聞こえないでしょうが、物体を振動させます。当然人体をも振動させるわけで、目に見えぬ振動が体内の臓器、脳・内耳等に影響を与えることを想像できない理工系の方々は、機械ではなく、生身の人々の声に耳を傾ける必要があります。
 自分の属する業界(or学会)の常識に反することを訴える人達がいる場合に、「何か、自分たちに気が付いていない事があるのではないか」と考えるか、「この連中の精神状態が変なのだ」と考えるかによって、その人の人間性が窺えます。さらに科学者なら、真実をまだ十分知り得ていないという謙虚さが必要であるにも関わらず、低周波音の健康への悪影響を断定的に否定する学者は科学者ではなく、曲学阿世の徒であり、そのような者に血税から捻出した研究費を与えるべきではありません。
 大学の工学部等の先生で、私たち被害者の立場に立って協力してくれる方がいないかと期待するのですが、考えてみれば、そのような先生方は、教え子の就職活動や自らの定年後の企業顧問としての再就職等を考えると、企業側に立たざるを得ないでしょう。

 
 ところで、この低周波音問題に医師が係ろうとしないのは、その被害者を低周波音のない環境に移せば済む話であり、投薬など医療行為は必要ではなく、医師の関与する事ではないと感じるからではないでしょうか。又、医師は現場検証を行う立場には無く、「低周波音による不眠・体調不良・心身耗弱・・・・」という診断書を書ける筈はないのですが、法廷では窮状を訴える被害者にそのような診断書を求める事があるそうで、呆れる他ありません。司法にも独立した調査・検証能力が求められます。しかし健康被害に係る深刻な問題なのですから、一刻も早く、汐見文隆氏の臨床的研究を裏付ける基礎医学的研究がなされることを切望しております。

 この有識者会議委員リストに塩田正純氏の名前がありますが、塩田氏は、参照値作成にかかわった山田伸志氏、犬飼幸男氏とともに、NPO法人 騒音SOS”という法人で役職についています。低周波音被害者は、この参照値の存在のために、苦しみに喘いでいます。参照値の誤用が多いということで、環境省から2008年には参照値使用について注意を喚起する通達がでておりますが、この通達は末端には届くこともなく、公害等調停委員会をはじめ、行政も業者も「参照値以下であるため、問題はない」という過ちを各地で犯しています。(ちなみに、塩田正純氏は、公害等調整委員会の委員でもありました)

  隣家のエコキュートやエネファームにより、ストレス源となる不健全な環境に自宅が陥っても、苦情も言えず、何年かたって、“本来の?”病気が現れて、それで死に至ったとしても、しかたがないと受け入れないといけないのでしょうか。体に危険を感じると、逃げ出したくなるのが本能です。タイの津波の際の、ゾウや水牛のとった行動、すなわち、低周波音を感じると、危険だ、逃げよという、本能の叫びですが、低周波音は人体に影響はないという”その道の人”の意見に従わされ、低周波音と健康の因果関係は不明という環境省のために、被害者は苦痛に耐え、財産を失う状況にあります。後になって、やはり低周波音は健康に重大な影響をもたらすということが判明したとき、あなた方は多くの犠牲者にどのように責任(道義的責任を含む)をお取りになるのでしょう。
 
 尚、webサイト"騒音SOS”は参照値について次のように記載しています。

”最近インターネット上でこの「参照値」に関する誤解に基づく過激な批判が一部で見られます。しかし正しく理解して活用すれば、低周波音が原因で悩んでおられる多くの方々にとって、大変役立つ数値です。

 
 上記「参照値」が役に立ったという低周波音被害者を寡聞にして知らないのですが、何故でしょう。参照値をどのように理解して活用すれば、私が自宅で安心して住めるようになるのでしょう。お教えください。塩田正純先生。

・静岡県伊豆半島における風力発電 第一回、第二回有識者会議より
ハイパーソニック効果
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