低周波音測定に関する注意点 ( 管理人補佐 )

2014/3/31加筆 部分



●隠密裏に測定を行うこと。
これは鉄則である。加害源機器所有者やメーカー・設置業者に測定日時を知らせて測定を行うと、裏で一時的に機器の調整が行われ、通常の測定値を得られないことがある。余程の信頼関係がない限り、この鉄則は守るべきである。(20130520加筆
●当該機器の稼働状況を把握しておくこと。東芝製エネファームの場合、27日周期で1日の停止・自動点検があるようだが、電源断のような完全停止ではない。強弱のサイクル等も確認しておくこと。
●周辺の他の機器の稼働状況を調べておくこと。
●背景騒音(暗騒音)のレベルの低い時で、且つ、被害者の被害感覚の強い時を狙って長時間測定すること.。
通常、深夜が良い。当方宅は静かな住宅地に在るが、それでも正確な測定には午前1時〜3時が最適であった。
●雨天の日を避け、無風状況下で測定すること。
●当該場所以外で種々の比較測定を行うこと。
●毎回、測定状況の写真を撮っておくこと。
●部屋の中や壁に囲まれた空間では低周波音が定在波(音のモアレの様なもの)になっていて、測定位置によっては不適切な値(低い値)を計測してしまうことがあるので要注意。
●被害者は、室内では、窓を閉めた状態の方が被害感覚が強くなるようだが、窓ガラスによって可聴域騒音が遮断され、透過した低周波音のみが顕在化するからであろう。又、窓を閉める事によって定在波も生じ易くなると考えられる。窓だけでなく、部屋の扉も閉めて測定を行うこと。
●音源機器の直近に置かれたワンボックスカー等が共鳴箱になり、加害性を増す事もあるようだ。又、音源機器が遠くにあっても、その周囲がパネル等で覆われていると害を被る可能性がある。隣家の大きな壁面に接して置かれた機器はパラボラアンテナの焦点を連想させる。(20131124加筆)
●測定したデータはExcelなどに取り込み、3D面グラフ・折れ線グラフ・等高線図などを利用して視覚的に解り易い資料を作ること 。法廷では、低周波音に関する知見を明快に裁判官に提示する事が大切。
●状況から、明らかに当該機器が加害源であると思える場合でも、客観的に加害源を特定できるデータを用意すること。法廷で相手の弁護士が主張しそうなことを念頭に置いて、データ収集に工夫を凝らすこと。
●人体は優れた吸音体なので、室内等で測定するときには、人払いをして計測器のみを設置すること。室内で被害者が被害感覚を覚えているときに、他人が入室すると被害感覚が軽減又は消滅することがあるそうだが、その一因は人体(着衣を含む)による吸音ではないかと思われる。冬季、着膨れした聴客で埋まったホールでは、音が吸収され過ぎて演奏がしにくいと、ある音楽家が話していたが、それと似たような事ではないか。(20120630加筆)
当方を含む幾つかの事例のデータを吟味すると、窓を閉めて室内で計測した場合、1階よりも2階の室内で明瞭な低周波音が認められる事もある。(20120708加筆)音源から最も遠い小部屋や台所で高い音圧が計測されることもある。(20131109加筆)
 ●環境省の文書(*1)13頁に依ると「発生源側と苦情者宅屋外で問題となる周波数の音圧レベルがほとんど変らない場合には、暗騒音の影響や対象と思われている発生源以外の可能性も考えられる。また、問題となる周波数の音圧レベルが発生源側よりも苦情者宅屋内で大きい場合は、苦情者宅で使用している設備機器等の影響も含めて再検討を行う。」と記されているが、通常、被害者が堪り兼ねて声を上げる頃には自身の周囲の状況を良く把握しており、無駄な再検討になる可能性が高い。低周波音に関しては被害者宅内値が屋外値を上回る事などは珍しくない。家屋や部屋が共鳴箱になっている訳だ。又、松井 利仁氏による文書(*2)7頁、15頁も参考にされたい。測定に関する示唆にも富んでいる。 (20131124加筆)
 (*1)「低周波音問題対応の手引 」
    http://www.env.go.jp/air/teishuha/tebiki/02.pdf  
 (*2)「風力発電施設に係る影響評価方法」
    http://www.env.go.jp/policy/assess/4-5kensyu/pdf/theme/h23_matsui_text.pdf
 (2014/03/31加筆)
●良心的であると仄聞していた測定業者が1つ消えた。一方、被害者から入ってくる他の(大手)測定業者に関する情報は酷いものばかりだ。
 @暴風雨の中で低周波音の測定を強行し、「測定できました」と告げて引き揚げた。
 @窓を開け、扉を開けたまま部屋の中で低周波音の測定を行おうとした。測定者は本当にプロだろうか。
 @低周波音の測定を不適切な機器で行おうとした。
   被害者の問い合わせに対し、測定機器メーカーも不適切であることを認めていた。
     等々
 大手の測定業者であっても、少なくとも低周波音に関する測定では木で鼻を括ったような対応が多いように感じる。そして上記のような測定でも、一日当たり50万円から100万円くらいの調査費を請求するのである。大仰な機器を多数揃えて測定に臨むようだが、高額な調査費を依頼者に納得させる為の演出ではないのか。
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 質の良いデータを集める為には時間と忍耐が必要で、業者や行政による業務時間内での単発的な測定では、加害源に「問題無し」・「低周波は検出されず」と御墨付きを与える可能性が高く、原因を特定することも困難であろう。特にガス会社・製造メーカーの出してくるデータは眉に唾をつけて眺める事。エネファームの場合、良状況下で測定すれば、低周波ピークが持続する見事なデータが得られる。

 低周波音測定器は精密機器なので貸し出しはできない、という自治体では機器をどのように活用しているのか。ある程度のリスクを負うのが行政ではないのか。行政による低周波音測定器の活用状況を知りたい。

 この問題に関しては、関東圏の自治体の意識が高いようで、関西に住む当方は残念に思う。
「民民不介入」という言葉は"生活騒音はお互い様”というレベルの問題に使うものであり、一方が深刻な健康被害を受ける低周波音事件に対して使ってはならない。


(20141101加筆)
 「心身に係る苦情に関する参照値」を錦の御旗のように使う自治体が今でもあるのだろうか。
    ”Standards are devices to keep the lazy mind from thinking.”
    (意訳:基準とは思考停止を助長するものだ)
    出典 http://ajph.aphapublications.org/doi/pdf/10.2105/AJPH.54.8.1319
これは米国の公衆衛生学者(故人)の言葉だが、低周波音被害者なら上記「参照値」に対して、この警句がピッタリ当てはまると感じるだろう。低周波音長期被曝に対して、「参照値」を持ち出しても意味が無いのだ。