低周波音に苦しまれる方へ


 まだ私は、低周波音問題で自宅を離れたまま、避難先で暮らしており、いつ自宅に帰れるか目途もたたず、なにも助言らしいことを言えるような立場ではありません。法規制もなく、行政も無為無策の状況で、公調委も参照値に捉われて問題解決の役にも立たず、被害を解決するための道のりの長さを考えると茫然としてしまいます。

 しかし、2011年7月に群馬県高崎市でエコキュートによる被害が法廷に持ち込まれ、その後、岩手県北上市、神奈川県鎌倉市と、次々と提訴されています。新聞でも広く報道され、この被害が社会的に認知されることになり、今まで、泣き寝入りするしかなかった方達にも希望をもたらしてくれたように思います。今現在、私も弁護士を探していますが、なかなか見つからない状態にあり、この問題に関心を持つ弁護士の方が増えてくることを願っています。一方、日弁連の低周波音被害問題に関するプロジェクトチームが2011年2月に発足し、法規制の在り方を検討しているとのことで、明るい兆しを感じています。

 そして、私たち被害を受けたものは何をすべきか。まずは、この健康被害が本当に低周波音によるものか否かを確認をするところから始まります。単なる自律神経失調症ではなく、低周波音という物理的現象で健康被害が生じたということを明確にするために、低周波音測定器(NA-18Aなど)を使用して計測するべきです。そして、低周波音が確認されてはじめて、苦情を訴える”クレーマー”が、晴れて被害者といえるのです。明らかな証拠もなく、現在の行政に苦情を言っても何も解決には結びつきません。

 低周波音測定器は各都道府県に1台ずつ環境省より支給されていますが、私の住む県では残念なことに所在もわからず、活用されていません。また、市では民民の問題には不介入という言葉で、市民の苦境を放置しています。
 一方、多摩市、国立市、武蔵野市、上尾市などではNA-18Aを貸し出し、職員による計測を行っているところもあります。中には夜間の計測をしてくれるところもありますので、被害者自身が粘り強く自治体に要請していき、行政を変えていかなければなりません。
 そうはいっても、行政は一市民の苦情に対して、すぐ変わるものでもありませんし、結局、低周波音測定に関して民間の計測会社に相談することになるのですが、ヴィステックなど良心的な調査費用を定めている所ばかりではなく、法外な値段を要求するところも多々あります。最近では、探偵会社も低周波音被害増加を察知し、参入してきていますので、注意なさってください。でも、なぜ、行政は民民問題には介入せず、市民生活を守ることなく、低周波音測定は民間の計測機関を利用せよ、などと無責任なことを言うのでしょうか。被害者は健康を害し、通常の生活に支障をきたし、医療費を払い、私のように、住むことのできない家の固定資産税や避難先の賃貸住宅の家賃を払うことになります。そして更に、民間機関で自ら調査費用を負担せねばならないのでしょうか。
 低周波音による健康への影響は深刻なもので、法規制の整備など待ってはおられません。行政による理解が是非必要です。

 私は、自治体が低周波音苦情に対し、低周波音を計測することと、せめて公害苦情として受け付けてもらうことを望んでいます。自治体は、毎年公害苦情の件数を発表しておりますが、そのうちの1件として当方の件も加算されるべきだと思っています。公表される被害件数は氷山の一角であり、将来、同じ苦しみを持つ方々が私と同様、行政の壁に屈することになるからです。

 ということで、解決はさておき、私は無力さを感じながらも、せっせと被害を行政に訴え、公害苦情として認めてもらうよう努力します。そして、このページを読んでくださった方もどうか、行動を起こしていただければ、うれしく思います。
      

                                                                         2011.12.29