エコウィルー低周波音に苦しむ隣人たち     (20130522)



 エコウィル被害について次のようなネット記事を見つけた。まったく、被害者の悲鳴が聞こえるような、切実な内容である。

Aさん
 去年9月下旬、隣家にエコウィルが設置。その後、振動と騒音で苦しんでいる。10月から親戚の家で宿泊しているが、生活環境の変化でストレス。隣家には被害を伝えてガス会社とも交渉したが進展はない。機器は敷地境界近く、台所の窓の所に設置され冬はほぼ一日中、テレビを見ていても聞こえてくる。ガスエンジンだけでなく給湯器もすごい騒音。機器設置の境界に寝室があり眠れない。エンジンだけ23時半から6時まで停止しているが、風呂に24時以降に入られると飛び起きる。夜中はガス温水浴室乾燥暖房機の乾燥機能で、家中どの部屋にいても嫌な音が離れない。母が生まれて初めて入院し、兄弟はメニエールで通院中。次から次と病気。調停したが隣は欠席で、調停不成立、一回で終了。ガス会社には隣家が移設する場所がないと言っているとのこと。車四台おける大きな庭があるのに、置く場所がないと? 
Bさん
私は、かなり重症でした。今は、夜は家を離れています。それで少し症状がよくなりました。私は、エコキュートに比べて、エコウィルの被害が表に出てこないのは、所有者の使用状況による違いがあるからではないかと考えています。エコキュートは深夜電力でお湯を沸かすので、毎晩稼働します。エコウィルは、発電エンジンが動く時間は、生活パターンによって違います。夜から朝まで動き続けることは、通常無いようです。…が、しかし、私の場合のように、所有者が冬になると床暖房を夜中も使い続け、洗濯物を年中カワックで乾かしたりする人だと、稼働時間が長くなり、夜寝ている間に低周波の影響を受けてしまいます。
私が懸念しているのは、低周波音・低周波振動を感じていない人には健康被害がないのか?ということです。私の両隣の人たちは、低周波を感じていませんが、顔面麻痺やメニエールとの診断を受けています。飼い犬は最近、リンパ腫になりました。

 エコウィルは2003年から販売開始され、販売延出荷数2011年で10万台である。その出荷台数に比べると、事故情報データバンクに寄せられるエコウィルの苦情件数が比較的少ないのは、この機械が夜間ではなく、日中の稼働が多いからであろう。しかし、上記2例にみられるようにライフスタイルによっては、一晩中、カワックや床暖房を使用する場合もあり、深刻な被害が生じている。

 上記2件と当方の件で共通するのがメニエール病である。当方家人もメニエール病と診断された。当初は、何もわからず、なぜこのような難病にと悲観したが、これは一部の低周波音被害者のある症状がメニエール病と酷似するために、そのように診断されたのだろう。メニエール病は蝸牛の内リンパ水腫を起こすが、低周波音被害でも同様に内リンパ水腫が起こることはよく知られている。家人は短期間に2度メニエール病と診断されて服薬したが、それから、家を出て避難してから2年間一度も再発はなく、元気に過ごしている。また、家人には低周波音の自覚がなかったが、家を出るまで数週間寝たきりの状態であった。
 

 相次ぐエコキュート訴訟に対し、2011年11月、朝日新聞記事では専門家の意見が掲載された。日本騒音制御工学会は環境省が低周波音問題対策の業務を委託しているが、その学会事務局長の意見である。
「日本騒音制御工学会の堀江侑史事務局長の話
低周波音で苦情が出ているのは事実だ。多くの場合、機械の設置方法や場所に問題があり、移動すれば被害は解消する。施工業者やメーカーは、被害が出た時は移動などの対策をとってほしい。日本冷凍空調工業会が作った設置方法のガイドブックもさらに普及させる必要がある。」

 このように、低周波音の苦情が出れば移設などの対策をとってほしいとある。それは低周波音に対して有効な手立てがなく、技術的対策では困難であるがために移設を推奨するしかないということである。こんなにはっきりと、「苦情があれば移設せよ」と権威ある学会が勧めているが、多くの業者は口を揃えて、「参照値以下であり問題はない」「健康被害との因果関係は不明」、さらには「気のせい。あなたが神経質」と苦情を個人の問題に転嫁し、苦情対応しようとせず、所有者も自分の不利益にならぬよう業者の意見を盾に移設を拒否する。

 Aさん事例では車が4台置ける場所がありながら、エコウィルを移設する場所がないと所有者はいう。調停不成立で、このAさんには裁判しか残されていないが、Aさんは日常生活が営めず、苦痛にあえぎ、家族崩壊の危機にさらされている。しかし、Aさん家族を守る手立てはない。このエコ給湯器3種は国の補助金がでており、国策で導入が進められているにも関わらず、自治体は民民不介入で被害の実態を知ろうとはせず、被害者は名だたる企業相手に裁判を起こさなければならない。

 高崎裁判では、だれの目にも「酷過ぎる」場所に機器が設置されているが、施工会社は非を認めず、裁判は難航している。この設置の仕方と音の状況を見て、機器製造メーカーも施工会社の設置に疑問を持たないのだろうか。そして、所有者は自宅の景観を優先するが、それは隣家の住民に被害を与え、隣家家族の崩壊をもたらしてでも景観の方が大事なのだろうか。隣家に配慮を欠いた設置者のミスには目をつぶって・・・。
 
 写真は、高崎裁判の機器設置状況である。
以下は、設置工事に携わる業者の方がこの写真に対して寄せてくれた意見である。
「設置について工事の立場から言わせていただければ、施工不良工事(設置不可)だと言えます。又、これだけ密閉していれば反響するのは一目瞭然です。音が反響するということはそこに低周波もあるということなのですが、(現状では)残念ながら低周波について施工の指示がでていません。」
 
 このように施工不良工事と言われる高崎裁判であるが、被告である大和ハウスは、「被害は生じていない あるいは設置場所に関し隣家の影響は考慮に入れてない・今の状況が迷惑がかかるとは思ってない」ということである。

 また、Bさん事例で気になるのが、被害者宅から7,8m離れたところに機器があることである。高崎をはじめ各地のエコキュートのトラブルでは、被害宅から至近距離にエコキュートが設置されており、そのため、設置場所が問題であるとして、エコキュートの設置のためのガイドブックには設置場所について細かく注意点が記載されている。しかし、実は問題は距離だけではなく、周辺環境によっては、7、8m離れていても、被害は生じる。それは、エコキュート、エネファーム、エコウィルの3種の高効率給湯器に共通して起こっている。ガイドブックの注意点を守ったところで、被害数は減少するかもしれないが、被害は確実に発生する。そして、より少数となった被害者はますます厳しい闘いとなる。

Aさん、Bさん、そして、この被害に苦しむ多くの人々が救済され、かつての平穏な生活を取り戻されることを祈ります。
そのために、被害を受けている方々が手をとりあって、知恵を出し合って、訴えていくことが必要ではないかと思います。連絡をお待ちしています。              連絡先  kosmoso@live.jp