ある風車被害者の独白9

由良町畑地区臨時総会
                   2012年12月 13日

 11月25日、地区の臨時総会が開かれました。議案は一つ。ガス&パワーが申し出た“年間200万円(これから20年分で4000万円の協力金”と “希望者宅は窓を二重サッシにするという提案”を地区が受け入れるか否かです。私達は、この協力金を受け取れば、業者は苦情を受け付けなくなり、被害者の救済が放置されることになるので、受け取りたくはありません。地区は130戸。 一年に1戸1万円、地区に70万円の支給が20年間です。私達はお金などほしくはありません。夜、家で静かに、安心して眠りたいだけなのです。電話を1軒、1軒かけて、反対するように頼みましが、不安いっぱいで総会に臨みました。 賛成票20、反対票31で、ほっとしたのもつかの間、議案に賛成とした委任状が58票ありました。町はこのまま、可決しようとしましたが、緊急動議ということで、なんとか保留に持ち込みました。私など、「緊急動議」という言葉も知らず、頭が真っ白になって、喧騒の中、状況が呑み込めず、後で保留となったことを理解しました。

 町の自治区の末端、班ごとに、委任状を集めたそうですが、それぞれ詳しい説明もせず、地区に年間200万円の支給 が20年間あることだけを伝え、町側は賛成票を集めていたようです。町行政は、やはりガス&パワーの手先だったとしか思えません。  
 二重サッシでは、被害はおさまりません。実際に二重サッシだけではなく、数百万円の費用をかけて防音工事をした風車被害者宅が中国地方でもあったようですが、被害解消にはいたらなかったようです。お金を地区にばらまいても、本当に被害を受けている住民には何の救済にもなりません。20年間で1 戸あたり20万円のお金をちらつかせ、地区内の住民間に不信感をもたらし、被害者の声を封じようとする姑息なやり方に、腹立ちを感じます。
 私たちは、常に低周波音に曝され、不眠と体調不良に苦しんでいます。昨年、厳寒の時期でありながら、家にもいることができず、夜の熊野街道を徘徊した心細さを思い出すと、これからの日々、暗澹たる気持ちに襲われます。

 
風車から650mほどの民家