ある風車被害者の独白14

和歌山県由良町

                   2013年9月24日

5月24日、参議院会館で風車被害者の集いがありました。

 「週刊金曜日」で由良町の風車被害を書いて下さった永尾俊彦さんも「和歌山県由良町の風車被害の報告」と題して講演をなさいました。その中で、永尾さんは
被害者が苦しみ続ける理由として以下のことをあげています。
@助けてくれる医師や科学者が少ない
A助けてくれる弁護士も少ない
B助けてくれる政治家が少ない
Cメディアも大きく報道しない
D脱原発派に風車被害についての理解が乏しく、風車を推進し
 ようとしている
E被害者同士の連携も広がっていない
 

 その通りです。このような現状に各地の被害者は絶望感を抱いて、闘う気力を失ってしまいます。

 そして現実はさらに厳しく、風車被害を訴える私は地域で村八分のような扱いを受けています。地域の住民は多かれ少なかれ被害を感じており、以前は話題にもなっていましたが、現在は、私が白眼視されているのを見ているからでしょうか、多くの人々が口を閉ざしてしまっています。
 つい先日、山向こうの隣町でも被害があることを耳にしましたが、血縁者が風車建設に関わったために、被害のことを大っぴらに口にする事ができないようです。このような地域のしがらみで、被害者はますます孤立し、沈黙せざるをえなくなります。
 また、永尾さんの資料によると、「由良町に17年間に入る固定資産税は由良風力から2億8800万円、広川明神風力から約6800万円(同町財務課)」だそうで、由良町は風車のおかげで、年間約2100万円の収入があることになります。

 9月13日、町議会でY町議が質問しました。「隣町では町営の風車により、町民が健康被害を訴えたため、町は夜間の稼働を停止し、日中も回転数を落として稼働している。由良町でも、被害に対して何らかの対策を講じるよう働きかけてほしい」というような内容でした。
 それに対する答弁は
 ・風力発電の低周波音による町民の被害は存在しない
 ・風力発電は法に則った企業活動であり、当町に風力発電を停止させる権限はない
 ・体調不良を訴える町民の方がいるのであれば、今まで同様、当町の保健師はもとより御坊保健所  と連携しながら対応する

 続いて質問をしたT町議は質問の前に、感想として次のようなことを述べています。
  裁判所、あるいは国に訴えて提訴をして事実認定をすればよい

 隣町ではたった1基の町営風車の被害を認めて、町は夜間の稼働を停止しています。由良町は21基の風車による深刻な被害にも関わらず、町は住民の苦しみを認めず、「風力発電の低周波音による町民の被害は存在しない」と断言し、不満なら、勝手に住民は裁判をしろと言うのでしょうか。住民と業者の間に入って、住民の苦痛を軽減しようとはしないのでしょうか。風車のもたらす年間2100万円のために被害をないものとしたいのでしょうか。