エネファームも事故調調査を

2015年4月1日

 

 エコキュートに続き、エネファームについても消費者安全調査委員会(事故調)調査を求めたい。
事故調報告書*によると、エコキュートが調査対象に選定された理由は
        (a)  「公共性が高い」
        (b)  「被害の程度が重大」
        (c)  「消費者による回避可能性が低い」
の3点であるが、この3点はもちろんエネファームにも共通する。2点目の「被害の程度が重大」について報告書には「申出者が訴えている健康症状の程度は、自宅では夜眠れないことがあるほど深刻な状況である。」と記されているが、エネファーム被害の当方の健康症状は、「夜眠れないことがある」というようなものではなく、「昼も夜も眠れず、疲れ果てて漸く数時間の仮眠をとるくらいのものであり、自宅での生活を断念せざるを得ない」状況であった。それは、エコキュートの一般的な稼働が「午後11時から午前7時までの時間帯」(報告書p5)であるのに対し、エネファーム(東芝製)は24時間の連続運転であるからにほかならず、エネファームはエコキュート以上に深刻な影響をもたらす。

   高崎裁判音源(事故調報告書本事案)
サンデン製エコキュート
管理人 音源 
東芝製エネファーム
 機器の稼働時間   夏 早朝 数時間   1日24時間
 冬 夜間 7時間〜
 仕様書の騒音値   中間期 38dB   発電器 38dB

給湯暖房機 48dB<暖房単独時44dB
 冬 42dB  

 2012年11月に、エコキュートは事故調の第1陣の調査対象に選ばれたが、同時期にエコウィルやエネファームの被害者も調査申出を行っている。しかし、消費者庁からの連絡では、「エコキュートもエネファームも同種の問題であり、エコキュートで得られた知見がエネファームにも活用できる。エコキュートの調査結果が出るまで待ってほしい」ということであった
 エコキュートが調査開始されてから2年を経て、2014年12月に事故調報告書が発表された。これはエコキュート被害者だけではなく低周波音被害者の多くが待ちこがれたものであったが、内容はエコキュートに限定されたものであり、他の給湯器被害を言及することは一切なかった。そして、それからもう4か月も経とうというのにエネファームはいまだ他の29件の案件と同様、検討中となっている(**)。
 天災ではなく、隣家のただの給湯器のために当方は自宅に住むことができず、自宅を奪われている。また当方だけではなく同様な被害が各地で生じているが、対策はとられることはないままに、その間もエネファームは補助金が交付され、普及が進められていく。神戸市では被害を強く訴えているにもかかわらず、2015年度には補助金が1000件4000万円に増額される。

エコキュートの低周波音被害について

 エコキュートは2001年に販売され、その直後からエコキュートによる低周波音被害は発生していた。しかし、今まで事業者はこの被害を断固として認めようとせず、自治体も「民民不介入」として関わろうとしなかった。それは、エコキュートの被害現場では、環境省策定の参照値には届かない低い音圧しか計測できなかったからであるが、販売後13年経って初めて、この被害が国により認められることになり、被害者にとっては画期的なものとなった。
 すなわち、環境省、経産省、そして各地の自治体の、事業者保護という後ろ盾で、事業者は被害を否定してきたが、2009年に発足した消費者庁が被害者の訴えに耳を傾けて、このような結論を得たのである。環境省は国民の住環境を守ることなく、低周波音被害を黙殺してきたが、消費者庁が勇気をもってこの問題に取り組み、一石を投じることになった。「科学的知見がない。因果関係が不明」と、国が40年近く、同じ言葉を繰り返してきた被害に漸く目が向けられ、被害者が疑問を持つ参照値への信頼性が崩壊する切っ掛けとなる可能性が出てきた。

 被害の事実がありながら、「科学的知見がない」ということほど、科学を軽視したものはない。自然科学にはすべて「原因があるから結果があるのであり、被害事実という結果がある限り、それには必ず何らかの原因が無くてはならない。それを40年間、「因果関係不明」を繰り返し、何ら究明しないのは科学の軽視と言うより、今となっては「科学の政治、経済への単なる隷従に過ぎない。実験室での実験で明らかな因果関係が認められないのは、その実験方法に問題があると言うより、間違っている。正当な検討さえ行われれば、エネファーム等の被害も認められるはずであり、それを認めないのは単に科学の怠慢か、経済、政治の介入と思わざるを得ない。

 事故調報告書は確かに画期的なものではあるが、内容的には、被害者にはまったく何の目新しいものはなく、自明のことが確認されたにすぎない。今後に生かせる科学的知見を得て、被害の未然防止に役立てるには、消費者庁がエネファームやエコウィルで調査を進める必要がある。「消費者・生活者の利益を第一に考えて行動します」という消費者庁HPの言葉通り、家庭用機器による低周波音被害に向き合ってもらいたい。


  
* 事故調報告
消費者安全法第23条第1項に基づく事故等原因調査報告書
家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動により不眠等の健康症状が発生したとの申出事案平成26年12月19日


 







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消費者安全調査委員会の動き 第23号(平成27年3月20日 発行)

○一般の方からいただいた「申出」事案
事務局から、類似事例、制度等の関連情報や専門委員の見解などの情報収集の結果が報告され、その内容に基づき調査委員会で検討した結果、そのうち2件については調査を行わないことになりました。残りの案件(30件)については、引き続き、臨時委員、専門委員等の知見も活用しながら、事務局で丁寧に情報収集を行った上で調査委員会において判断していくことになります 。 







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