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心を込めて、あなたへ贈るメッセージ。2000年11月に、フーコーより発行、星雲社より発売された摂食障害回復出版エッセイ「頑張らなくていいよ」

◇NPO法人 心ざわざわ Top<寂しいときは寂しいと叫んでいいんですよ
貴重な時間
心ざわざわは、摂食障害・拒食過食嘔吐、トラウマやその他の諸症状が回復し、この摂食障害の相談ルームを開設するまでに20年余という時間を使いました。周囲の方に恵まれ、申し訳なく恥ずかしいほどのご迷惑もかけましたが、ここでは書ききれないくらいたくさんのことを感じ、自分の中へ取り入れ、自分のものとしました。今、自分であることが楽しくて幸せだと強く思い、今、私の宝の時間となっています。このページには、以前出版したエッセイと私の感じるままに言葉を選んで記載しています。あくまでも個人的な考えを記述していますので、ご了承くださいますようお願いします。
自分を、今から作ればいいんですよね
摂食障害、トラウマやパーソナリティ障害に関しては、医学的に症状・分類・治療やその他諸々は、たくさんの書物で記載されていますので、あえてここでは記述しませんね。また、私は、摂食障害の相談の方には、それについて書かれた本をあまり薦めません。症状や諸々を読むことで感化されてしまう自分の経験があるからです。この症状に悩む方は、感情が人一倍豊かで、完璧主義で気配りも細やかな繊細な性格だと思います。そして、真面目で頭の回転の速い方でしょう。ただ、真面目過ぎて、繊細過ぎて、頑張ってしまうのですね。ブレーキとアクセルを同時に全開で走っているのですね。気配りも360度完璧なので、いつも気が張っていますね。若い頃、私もそうでしたよ。100名の方がいれば、100名の方に好かれようと、特に親御さんには気を遣って日々を過ごしているのではないでしょうか?理想が高く、現実を理想へと押し上げることができていた若い頃、まさに素晴らしい優等生でしたよ。
お気づきですね。いつの間にか、本当の自分がどこかへ隠れています。周囲の人たちは、表に出ているこの作られた自分を愛しているのだと、本当の自分がどんどん寂しくなってきます。しかし、まだ本音は隠したままですね。本当の感情、あるがままに表現することを忘れてしまっています。すると、心に空虚感がどんどん大きくなり、それを埋めようと焦りが生じます。そうですね。空虚の部分は、愛がほしいのです。親御さんからの、本当の自分への愛がほしくなります。小さい頃から良い子で、恐らく生まれてすぐから、良い子だったのでしょう。口唇期に十分な愛情を感じることが少なかったかもしれません。そして、身体的には成長をして、心に安定という愛情がないまま、ちょうど母親との精神的な分離をする時期に、しがみつき不安が現れ、そこでも自分を誤魔化してしまいます。
ある日、食べ物を口にしないと、周囲が心配してくれ、注目を浴びることに、無意識な部分で気が付きます。親御さんの愛情を自分に向けることができるような気がしてきます。それは、気がするだけなんですね。情報のご時世、感受性が豊かな方は、心に大きく開いた穴を埋めるために過食、感情を表現できないので言葉のかわりに嘔吐など、過食嘔吐拒食のサイクルに入ってしまいます。完璧主義という性格も手伝って、なかなか抜け出せなくなりますね。過食や嘔吐は、身体的に苦痛です。時間的にも経済的にも悩みが重なります。精神的にも耐え難くなります。今、心ざわざわにお越しくださった方は、そのサイクルから抜けようと一歩踏み出したところですね。素晴らしい一歩ですね。ここで出逢えたことを、心より感謝します。ありがとう。
心ざわざわは、今、あなたの心にある言葉を、素直に表現してもいい場所です。楽しい時やうれしい時は、誰に遠慮することなく、顔色を伺うこともなく、あなたは大きな声で笑っていいんです。よく思われようとして、あなたは頑張らなくていいんです。自分が何者か?と考えるより、今、あなたが何をしたいかを感じていいんです。あなたが何をしたかを見て、よくできたとことを、あなたは褒めていいんです。心が空っぽで、寂しい時は、寂しいとあなたは叫んでいいんです。どうしたらいいのか分からないときは、あなたは大きな声で泣いていいんです。納得できないことを、それはおかしいのではないかと、あなたは感じてもいいんです。自分に目を向けて、自分の個性を認めて、それを褒めてあげてください。あなたの個性をあなたが褒めてください。
今日からは、心ざわざわが一緒です。あなたの素晴らしいところを、たくさん見つめて、一緒に大事にしましょう。一緒に食事をして、一緒におしゃべりして、一緒に笑う。心ざわざわは、そういう場所です。今、一緒に過ごす場所です。気兼ねなく、裸で過ごせる場所です。そう、今が一番大切ですね。過去に何かを忘れてきたのならば、今それを自分の手で作ればいいのですよ。自分を、今から作ればいいんですよね。そして、自分という一人の人間を、自分が愛してあげることが大切ですね。愛してほしいと願うよりも、愛することの素晴らしさがわかってきます。感性が豊かな素晴らしい心をお持ちのあなたは、今何が大切かを、その心で感じるでしょう。家庭って?愛って?自分って?これらには正解はありませんね。自分で自分の好きなように、好きなだけ答えを出してくださいね。急ぐ必要もありませんよ。一つだけ、今、あなたは一人じゃないんですよ。頼っても、信じてもいい存在があります。それは「あなた自身」ですね。そして、心ざわざわが、ここにいます。あなたが見つめている同じ方向を見つめながら、穏やかに笑っています。癖になった諸々のサイクルから、自分の足で必ず抜け出すことができると信じて、ここにいます。心ざわざわがそうであったように、出口を自分で見つけて、自分で扉を開けて、自分で微笑む日がくるでしょう。必ず。
「頑張らなくていいよ」
◆2000年11月、フーコーより発行、星雲社より発売されたエッセイ「頑張らなくていいよ」岡本理香著
私が、学生時代の友人に、死にたいと、手紙を綴ったのは、摂食障害を苦しみ始めて、三年目の冬でした。私は、優しい父と、優秀な母に、しっかりと守られて、良い子で育ちました。一人っ子で、不満も不安も感じずに、引かれたレールの上を真っ直ぐに、歩いていました。そして、良い子のまま、両親のガードのない社会へ歩き出した時から、本当の自分がない事を、感じ始めました。 「自分は、何者だろうか」私は、難しいテーマを心に与えて、苦悩の日々を過ごしました。良い子は、いつも良い子でいなければならないと思い、自分を演じ続けていました。そして、本当の自分ではない事に、気が付き始めました。
「本当の自分で歩きたい」私は、心にある本当の言葉を、隠したまま、漠然とした不安を抱え、生きていました。何をどんなに頑張っていても、充実感がなく、楽しくもない。それどころか、これをしなければならないという焦燥感と、誰のために、これをしているのだろうという空虚感に苛まれ続けました。心にため込んだ本当の私の言葉が、爆発寸前となり、辛い、寂しい、助けてと、言葉の代わりに、食べ物で表現するようになりました。拒食、過食、嘔吐を、ただ繰り返し、自分から逃げ始めました。私は、自分に拘わり、食べ物に囚われ、自分で自分を追い込んでいきました。本当の自分と、偽りの自分が、心で、いつも戦っている状態でした。摂食障害になることで、自分を誤魔化し、自分が益々、嫌になり、悲観的な精神状態が、私の心に死を、感じさせました。
「今は休む時」私は、人生の出口を探して、暗闇を彷徨うだけでした。卒業してから、疎遠になっていた学生時代の友人に、死にたいと手紙を綴ったのは、その頃でした。(中略)私と彼女との文通は、毎日欠かさず、まるで日記を綴るように続きました。今日の出来事、今、何が辛いか苦しいかを、一日何通も綴りました。忙しい中、毎日返事をくれる彼女に、いつしか、心の奥にある本当の言葉を、文字で、ぶつけられるようになり、本当の自分を彼女には、見せるようになりました。
「今まで、こんなに頑張ってきたのだから、今は休憩の時期。もう頑張らなくていいよ」私は、彼女のその言葉に、肩の力を抜いて、良い子でなくても、自分らしく生きてもいいかなと感じ始めていました。 「私は私」私は、今、自分が何をしたいのかを、まず考えるようになりました。文通で支えて貰いながら、自分に、目を向け、ゆっくりと、自分を見つめ直しました。摂食障害で苦しんでいるのは、私。不安から、死を考えたのも、私。自分で自分を、拒否せずに、今の私を、この私が、認めてあげよう。今の私が、全て、私の人生の次のステップになると、心に余裕を持たせてあげました。
「心は、大切」将来は、未知。大切なのは、今の本当の心です。(中略)私は、彼女から、自分で、その足を一歩前に出してごらんと、本当の自分を見つける為のきっかけを、与えて貰いました。私の手紙を、真っ直ぐ受け入れてくれた彼女に、感謝し、その存在が、嬉しく思います。そして、私が、居心地の良い彼女の支えに、しがみ続けずに、辛く苦しいけれども、自分の足で歩こうとする勇気を目覚めさせてくれたのも、彼女です。 「自分のペースで、頑張ればいいよ」私は、彼女から、沢山の事を感じました。自分は自分であるという大切な事と、心の中に、自分であるという勇気と希望を持ち続け、自分を楽しむ事。 「心の友」(中略)彼女は、私の自慢の宝物です。今も、これからも。そして、宝の言葉です。「頑張らなくていいよ」
セロトニンのお話
サイトメッセージの脳のお話でも記述していますが、セロトニンとは、脳内の神経伝達物質のひとつで、必須アミノ酸であるトリプトファンの代謝過程で生成されるものです。ドーパミンやノルアドレナリンなどの情報をコントロールし、精神を安定させる作用があるのですね。このセロトニンが不足すると感情にブレーキがかかりにくくなるため、快楽から抜け出せずに依存症に陥ったり、寝つきが良くなかったり、うつ病になりやすいなどといった指摘もあります。そこで、このセロトニンをたくさん出して、脳を活性化させて、気分をすっきり前向きにしましょうか。ちょっとした工夫ですよ。朝日を浴びて、深呼吸をたくさんして、規則正しい生活を送ると、どんどんセロトニンが出てきます。セロトニンの原料であるトリプトファン(必須アミノ酸)は、大豆加工食品、ゴマ、鰹節、ピーナッツ、ヨーグルト、チーズやバナナなどに含まれますね。もちろん、脳のエネルギー源の果糖、砂糖、ハチミツやでんぷんも大切ですね。サイトのコラム記事は、心と身体の健康生活のヒントもたくさん記載していますので、一度目を通してくださいね。
◇NPO法人 心ざわざわ Top<寂しいときは寂しいと叫んでいいんですよ
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