巡礼の基礎知識

なぜ八十八ヶ所?
四国八十八ヶ寺は弘法大師が人々から災難を取り除くために修行をされたゆかりの地に開かれた霊場です。
定説はありませんが、八十八と言う数字は人間の持つ煩悩の数で、満願成就すると全ての煩悩が断滅して成仏できるというので八十八ヶ所が定着したと言う説。

『米』の字に通じるから五穀豊穣を祈る数であると言う説もあります。
男42・女3313の厄年を合計した数と言う説もあります。


発心の道場・修業の道場・菩提の道場・涅槃の道場
四国八十八ヶ所は
徳島を
発心の道場
高知を修業の道場
愛媛を菩提の道場
香川を涅槃の道場と言う。
結願後八十八の煩悩が除かれ、八十八のご利益・功徳があると言われている。


遍路における禁じこと

まず、一番札所の大師堂で「授戒」をうけて順礼に旅立ちます。授戒=十授戒とは・・・
不殺生 生き物を殺さない
不偸盗 盗みをしない
不邪淫 邪淫しない
不妄語 うそや偽りをいわない
不綺語 へつらいをしない
不悪口 悪口を言わない
不両舌 二枚舌を使わない
不慳食 むさぼらない


遍路の三信条
1・摂取不捨(仏は決して衆民を見捨てず、守ってくださる)を信じ、同行二人でい  ることを忘れずに。  
2・愚痴や妄言を慎む。

3・現世利益(今生きているこの世での仏の恵み)を感謝し巡拝しながら一つ一つ
煩悩 を消していく。



お遍路さんの心得

宿では、金剛杖を洗いましょう

金剛杖はお大師さまの分身です。お大師さまの足を洗うように心をこめて洗いましょ  う。
橋の上では杖はつかない
お大師さまが十夜ヶ橋の下で修行なされた故事にちなんで橋の下ではお大師さまがお  休みになっておられるといわれています。
相互礼拝・相互供養
他の同行に会ったときは、「南無大師遍照金剛」と唱え挨拶をかわしましょう。
参拝後、鐘を撞いてはいけません
帰りに撞くと、出鐘といって、もう一度お参りをし直すことになります。


必要な遍路用具

巡拝の時ぜひ持ちたいのが、白衣・輪袈裟・金剛杖・納め札・線香・ローソク・納経  帳などです。(最近では納経軸をほとんどの人が持っています)
服装は本来、白装束ですが、最近では洋服の上に白衣をはおる人が多いようです。

菅笠にかかれた文字の意味は?
菅傘には次の6つの言葉が書かれています。
「迷故十万空」・「迷故三界城」・「同行二人」・「何処有南北」・「本来無東西」・弘法大師を表す梵字が1字です。
これらは、自然や宇宙の中には永遠の命があり、精進や修行を重ねながら自分もまた無限の命と一体化していこうという遍路の決意を示したものです。


巡礼の作法
札所・寺院に参拝する際、最も大切なのは各々の心持ちですが、巡礼の作法として一連の流れがございます。

山門の前で一礼
お寺に入る前に、まず一礼を。

水屋で、口をすすぎ、手を洗う
お参りする前に、身を清めるという意味合いがあります。

鐘楼で、鐘をつく(自由につける札所のみ)
自由に鐘をつけるお寺のみ、また参拝後に鐘をつくのは「戻り鐘」と言い縁起が悪いため、避けること。

本堂で、ローソク、線香、賽銭を献納し、合掌、お経をあげる
本来は写経を納めると良い。また、新西国霊場では、お寺によって、御本尊が違う(新西国霊場の御本尊がある)場合があるので、ご注意を。

納経所で、納経帳や掛軸などに朱印をうける
朱印をうける納経帳、掛軸などは各お寺でご用意しています。

山門を出たら振り返って一礼
最後にもう一度、仏さまに感謝の心で一礼します。


用語
遍路(へんろ)
四国88ケ寺を巡礼すること。
巡礼者のことを古くからお遍路さんと親しみを込めて呼んでいる。

同行二人(どうぎょうににん)
遍路は険しく、またくじけそうになることがある。
様々な苦難を弘法大師とともに、いつも2人で巡礼することを指す。

接待(せったい)
お遍路をしていると、寺院でまた道端から様々な人から、いろいろな
接待を受けることがある。接待は飲食物の提供であったり、励ましの
言葉であったりするが、四国全体でどこでも受ける。
車接待意外は断ってはいけないという。
古くからの伝統・美風土である。

打つ(うつ)
昔は、木の薄板でできたお札を寺に納め、その板を本堂や大師堂に打ちつけていたことから、お参りすることを「打った」という。
「打つ」のつく熟語集
本打ち 八十八ヶ所を全部まわること
順打ち 一番札所から順にまわること
逆打ち 八十八番札所から逆順にまいること ひょっとしたら弘法大師に会うことができるかも知れないと信じられている
打ち戻る お参りした道をふたたび戻る事
打ち技  来た道を戻らず別の道から次の札所へ進む事
札所を巡ることをいう。

通し打ち 1回で全行程を巡礼すること。
区切り打ち 自分の都合に合わせて区間・行程を決めて巡礼すること。
一国参り 区切り打ち程区切らず、徳島・高知・愛媛・香川県ごとに区切って巡礼する。

結願(けつがん)
88ケ寺、全寺を巡礼したことをいう。
順打ちのときは88番大窪(おおくぼ)寺、逆打ちのときは1番霊山 
(りょうぜん)寺、また区切り打ち、1国参りの場合は、88番目に巡
礼した寺院が結願寺となる。
結願後は、御礼参りのため高野山奥の院にも参拝し、遍路の旅は終了となる。