解説   養 老


 雄略天皇は、美濃の国本巣郡に霊泉が湧き出たという知らせを受けて、臣下に見てくるように言い付けました。
 勅使は、その養老と名付けられた滝にやってきて、その霊泉を見つけた親子の者に出会いました。その親子の者に、養老と名を付けた謂われを尋ねました。
 その子は、両親を養うために、毎日山中に入って薪を取っていましたが、ある日、その滝川の水を飲みますと、たちまち疲れが回復したので不思議に思って、その水を汲み、持ち帰って両親に与えますと、忽ち老いを忘れるほど元気を得たので、養老と名付けたと云います。勅使がその湧き出るところを見ると、奥に清らかな霊泉が見えました。
 この由を帰って報告しようと思う折から、天よリ光が輝き、音楽が響き渡り、その山の神が姿を現して、奇瑞を称え、舞を奏して世を寿ぎました。


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