解説   八 島


 京都に住む僧が、西国行脚を志し、四国の八島にやってきました。浜辺の塩屋に、宿を乞いましたが、はじめは断わられます。京都から来たと言いますと、自分も元は京都に居たから懐かしいと、泊めてくれました。
 その塩屋の年老いた主人は、旅僧の乞うままに、八島における源平の合戦の有様を、目の当たりに見たからと、語って聞かせました。景清と三保谷との綴引きの有様など、あまりに詳しいので、旅僧が不恩議に思い、名を尋ねますと、義経の夢を覚まさないでと言って、消え失せました。
 旅僧は、老人の残した言葉から、義経の霊かと察し、その跡を弔いますと、武将の姿をして、義経の霊が現れ、昔の源平の合戦を偲び、弓流しの有様を再現して見せ、今は修羅道にて、能登守教経と、奮闘する状況などを示しましたが、春の夜はいつしか明け、朝嵐の浦風の音に、その姿は夢となリました。

喜多流以外は「屋島」と書きます


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