解説   天鼓


 唐土後漢の時代、天鼓という少年が居ました。その名の由来は、彼の母が、天から鼓が降ってきた夢を見て、生まれてからです。
 所が本当に、天から鼓が降ってきたのです。しかもそれを天鼓が打つと、世にも妙なる音を出しました。
 帝がこの鼓を所望しましたが、天鼓は鼓を持って山中に逃げました。しかし、官人達に探し出され、その身は呂水に沈められました。
 帝はその鼓を、内裏で打たせましたが、誰が打ってもなりません。そこで天鼓の父親を呼び、打たせますと、鼓は初めてその妙音を響かせました。
 帝は後悔して、天鼓を哀れみ、呂水の堤にその鼓を据え、管弦により天鼓の霊を弔いますと、水中より天鼓の亡霊が現れて、その鼓を打って舞いを舞いますが、夜明けと共に夢となりました。


「弄鼓の楽」の小書は、「楽」に太鼓が入り、笛は盤渉調になります。


解説目次へ    展示室TOPへ    平成13年1月1日更新