解  説   高 砂


 九州阿蘇の宮の神主友成は、都へ上る途中に、播磨の国高砂の浦に立ち寄りました。
 高砂の松を掃き浄める夫婦の老人から、高砂の松の謂れや、所の言い伝えなど、またこの高砂の松と、摂津の国の住吉の松は、相生の松であることなどを聞きました。この夫婦の老人は、爺は住吉の、姥は高砂の、松の精(神の化身)であると名乗り、先に住吉に行って待っているからと言って、小舟に乗って沖へ出て行きました。
 神託にしたがって船に乗り、住吉へ行きますと、住吉の神は友成の前に現れ、神慮を涼しめる宮人の秦する神楽に合わせて、颯爽とした舞を舞い、松陰の映る青海波、春の還城楽、千秋楽は民を撫で、万歳楽は命を延ぶると言って寿ぎ、松風の颯々とした声を楽しまれました。


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