解説   求 塚


 旅僧(ワキ)が摂津の国の生田の里を通り掛かり、若菜摘む女性達(シテ・シテツレ)に言葉を掛けて、所の名所を尋ねました。 生田川や若菜摘む小野などの後、求塚を尋ねましたが、知らないと言って帰って行きました。
 一人だけ残った女性(シテ)が、求塚へ僧を案内して連れて行きました。僧はその女性から求塚の由来を聞きました。 昔、この所に住んでいた女性に、二人の男性が同時に求愛し、選別に困った女性が自害し、二人の男性も女性の墳墓の前で、 刺し違えて死に絶えたことを詳しく語って聞かせ、その女性は、自分がその女性の亡霊であると名乗り、後の弔いを乞い塚の中に消え失せました。
 僧は里人からも求塚の由来を聞きました。その里人の薦めもあって、僧は夜に入って塚の前で弔っていますと、塚の中より女性(後シテ)が亡者の姿で現れてきました。 そして、生前の自分の犯した罪により味わう、地獄の様々の苦患の有様を見せ、やがて亡者の姿は塚の内に消えて行きました。


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