解  説   車  僧


 車僧と呼ばれている僧は、牛のいない車を自在に操り、乗り廻っていました。ある日、嵯峨野の辺りを逍遙していると、愛宕山の天狗太郎坊が山伏の姿で現れ、禅問答を吹っかけて、自分の庵室に来るように誘います。車僧が泰然としていると、太郎坊は雲に乗って愛宕山の方に消えました。
 太郎坊の子分の溝越天狗も、なんとかして車僧を連れて行こうとしますが、全然相手になりません。
 太郎坊が正体を現して、天狗の魔道に引き入れようと、禅問答や行くらべをしますが、ことごとく負かされ、最後に車を引っ張ろうとしますが、それもできません。ついに降参して、車僧を合掌し、恐ろしやと言い捨てて消え失せました。


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