解説   橋弁慶


 比叡山西塔に住む武蔵坊弁慶は、宿願祈願のために、京都へ宮参りを志しましたが、従者は、五条大橋の近くに、少年の辻切リが出るからと、引き止めます。
 弁慶は、それならばその者を、逆に懲らしめてやろうと、夜になってから出掛けました。
 一方牛若丸は、平家の為に鞍馬寺へ封じ込められましたが、平家を討ち倒し、源氏再興の為に、腕の立つ家来を見出そうと、夜毎に五条の橋の上で、辻切りを装って、そのような人物を探していました。(この筋書きは、童 謡などの話とは、逆になっています。)
 ここで牛若丸と弁慶は、宿命の出会いをします。弁慶は、牛若丸のけなげな志を察し、適当な所で負けて、牛若丸の家来となって、牛若丸の本懐遂行に尽力します。
 子方の牛若丸と、シテの弁慶との切組は、牛若丸を引き立てて戦う、弁慶の心情の表現が、要求されます。


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