解説   班 女


 京都に住んでいた吉田の少将は、東国へ下る途中、美濃の国、野上の宿に泊まった時に、花子という女と契リ合い、その証しに、扇を交換しました。
 秋には帰るからと云って、東国へ下ったまま、何の音信もなく、花子は恋に打沈み、ついに、宿の長に追い出されてしまいました。
 少将は、東国よりの帰路、野上の宿に立ち寄り、約束の如く、花子を訪ねますが、すでに花子は追いだきれた後でした。少将は、深く花子を憐れみ、再会を祈らんと、賀茂の社に詣でます。
 花子は、少将を慕う余り、ついに心乱れて、都へ来て狂い歩いていましが、小 将の扇は、肌身離さず、大切に持って居ました。丁度、賀茂の祭りでもありました。多くの参詣者の中に、少将はその花子の姿を見付け、証拠の扇を見せ会い、再会を喜び合って、妹背の契りを結びました。


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