解説   花 筺


 応神天皇から五代目の孫にあたる大迹(オオアトメ)の皇子は、越前の国味間野どいう所に居ましたが、皇位を継承するため、急に都へ上ることになリました。
 その頃、寵愛されていた照日の前は、里帰りをしていましたので、急な事情をしたためた手紙と、毎朝使っていた花籠を形見として、使者に届けさせました。照日の前は、手紙を読んで事情は分かったのですが、皇子を慕う心を抑えることが出来ず、供の女を連れて、跡を追って都へ上りました。
 都に馴れない二人は、紅葉狩の行幸の列の前を、横切って咎められ、大事な形見の花籠を叩き落とされました。その警護の役人に、花籠の由来を言って、非礼をなじりました。
 その事によって、継体天皇と名を改めた皇子は、跡を追ってきた照日前と再会することが出来ました。また、照日前は、再び元のように、寵愛を受ける身となリました。


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