*『 御嶽山に登る 』
                                                                                         


 *『御嶽山に登る』について

    吟友数名で濁河温泉に前泊してから、翌日早朝に御嶽山を目指して出発。なかなか視
    界が開けず苦闘しながらも、樹林を過ぎたと思ったら視界はガスがかかり大きな岩がご
    ろごろ。 励ましながらようやくガスが晴れかけたとき二ノ池小屋が現れ、ほっとすると同
    時に眼前にコバルトブルーの二ノ池が目に飛び込んできました。この感動は今でも忘れ
    られません。結句に歌っていますように、それまでの疲れは一瞬にして吹っ飛びました。


 *読みと解釈

   早に濁河を発して    更に径傾なり       早朝濁河温泉を出発して登山道
   つとににごりごをはっして   さらにみちななめなり   を行くと次第に傾斜は増していく

   霊峰険阻にして    白雲清し           昔から信仰の山として慕われて
   れいほうけんそにして   はくうんきよし         きた御嶽山は非常に険しいが山
                                     を包む白雲は清らかである

   ニノ池青く    万雪を被るを見る         忽然と見えた二ノ池は青くその背
   にのいけあおく  ばんせつこうむるをみる       後には万年溶けないであろう残雪
                                     が覆いかぶさっている

   疲困忽然として    精気生ず            これを見た我々登山者は、 今ま
   ひこんこつぜんとして  せいきしょうず          での疲れが一瞬にしてとれて、
                                     力がわいてきた