ヒューマンユニオンセンター 2008年度総会
公務公共労働者の実態、「構造改革」の影と転換への展望
“ヒューマンユニオンセンター”の設立


■はじめに

■公務公共労働者の状況悪化と産別運動(2003年〜結成の2005年頃を振り返り)
 ○人勧による賃金抑制 … 単組から、単組交渉では限界という確定闘争総括 意見が → なぜか
 ○公務の民間委託の流が本格的 … 結局「安上がり」論 → なぜか
 ○労働相談が激増しているという状況 … 福保労、医労連など共通して
 ○市町村合併など、自治体の形すら変わる動き … なぜ容認されるのか
 ◇全保育所訪問、全医療機関訪問での共同したとりくみ
 ◇府内の社協訪問(福保、自治)、
  京都市内民間保育所訪問(指定管理:福保、自治)、
  府内未組織病院門前での宣伝行動(共同ビラ:医労、自治)

■公務公共分野のおかれている状況の概括(構造改革の影
 ○軸丸清子さん(愛媛県立医療技術大学教授)のレジメ参考抜粋
  〜自治労連メンタルヘルス西日本研修会〜
  @社会構造の変化(1960年〜
  <高度経済成長> 第一次産業(大家族) → 第二・三次産業(核家族化)
           → IT産業-IT基本法など(個人化)
  <地域社会の崩壊> 対人交流の希薄化→ (個々人の)孤立化
  *引きこもり・自己を攻める気質または、対外的な敵対感の増幅

  Aバブル崩壊後の構造改革(1996年〜
  <中央政府から地方自治体へ>地方でできることは地方へ
  <行政から民間へ>民間でできることは民間へ

  *富の再配分の崩壊
   → 利潤追求の競争社会 → 強い者は強く、弱い者は切り捨て
   → 豊かな者はより豊かに、貧しい者は貧しく
   → 強者・弱者、貧富の二極化

  Bこうした社会の変化が心理的な側面で引き起こす状況
  *相手の心の痛みを思いやったり、相手の立場に配慮したりという人間的   な側面が希薄化 → 共感性の低下 → 人との心理的な側面が希薄化 → 共感性の低下 → 人との心理的交流の希薄さ →
孤立(情緒的交流の減少)

  *心理的な孤立 → 孤独感 → 対人交流の回避 → 閉じこもり
   1.うつ傾向(自己への攻撃)
    意欲の低下(生き甲斐の喪失)、自尊心の低下(落ち込み)、
    自己への攻撃、自殺願望
   2.自己愛性の傾向(他者への攻撃)
    自己中心的(欲望充足中心)、共感性の希薄さ

  □つまり、公共的な支えという需要が激増する社会になる
  □公務・公共分野の拡大が必然的な社会構造になる

 ○日本の政治はどう対応したか
  介護保険法(1997年〜) … 背景に高齢化社会(国民の必要性・地域・家族な どの崩壊などを反映した国民的な要求
   しかし制度は格差社会には対応せず、自己責任型の社会保険制度に
  後期高齢者医療制度、…

  □公務・公共労働者のなかの格差=正規雇用公務員、非正規雇用職員
    公務機関、公務下請け機関(民間福祉施設などなど
   ここを根本的に変えないと、公務・公共労働者の基本的な労働条件を充   足できない。ゆくゆくは公務・公共の最低規制を協約化、または法制化   するなどの展望が必要。かなり規模の大きい組合の結成が必要。

   @公務・公共分野の労働条件改善=労働相談機能と労働組合の建設・組    織化の力を強める
    2005年3月09日 京都福祉・医療・公共労働相談・組織化センター結成
           (略称 ヒューマンユニオンセンター)

   A公務下請け化に対抗して=公契約運動、リビングウエッジ運動
    2003年5月09日 リビングウイジを考える京都懇談会結成
2008年9月21日 公契約・リビングウェイジ運動を進める京都懇談会に

○自治労連の運動戦略の一環として
  <自治体問題研究所新事務所でのあいさつ>
  この事務所には研究所が入り、しっかりとした政策研究を行う
   *2004年には京都自治体学校を開校(自治体労働者、住民の政策力…
  また自治体要求連絡会の事務所として、住民の方々が自治体要求をすすめ  る中で、矛盾と打開の方向をつかむ、
   *地方自治で闘う力をつける(住民自治、住民の発言力…
  公共分野労働相談もここをセンターとして行いたい。自治の運動の土台が  公共労働組合の拡大だと確信しています。
   *ヒューマンの結成(公務・公共労働者が安心して働く条件確立…

■参考資料:2004年05月26日「京都自治労連第156回中央委員会」第1号議案

6.ピンチをチャンスにする組織の拡大強化を
(1)公務公共業務の市場化攻撃のもとでの組織の拡大
@国立病院や大学での独立行政法人化では、全国で5,000人を超える賃金職員(有期の不安定雇用労働者)の雇い止めが行われました。全国的には、福祉(保育所)、病院職場をターゲットにした自治体リストラが広がっています。自治体での財政困難を理由にした業務の民間委託化攻撃のなかで、不安定雇・用労働者の雇い止めが広がり、指定管理者制度、独立行政法人化、市町村合併や行政機関の統廃合の中で、こうした動きが激増することは確実です。04春闘の特長の一つは、臨時・嘱託職員などの雇い止め問題、賃金・労働条件の改悪を中心とした「労働相談」が数多く京都自治労連に寄せられたことでした。

Aいつでも切れることを前提にした雇用が公務公共部門で主流になりつつあり、職場ではますます不安定雇用労働者が増えています。こうした労働者への賃金や労働条件切り捨ても厳しい状況があります。 京丹後市では、合併を機会に病院職場で働く臨時職員の一時金廃止や、府内各地での休暇の削減、賃金の切り下げなどが横行しています。しかし、昨年末に結成された宇治市公園公社労働組合は、組合結成時の要求であった休日出勤問題で、2年にわたり当局に精算させ、組合員も倍化しました。

B公務から民間への流れを政府と財界は強力に推進するなかで、非正規・不安定雇用労働者や公共分野で働く労働者の組織化を、文字通り本格的に推進しなければなりません。職場や関連事業での非正規・不安定雇用労働者が、正規の自治体労働者とともに、雇用の安定、賃金労働条件改善にとりくまなければ、構造改革の格差と競争という攻撃に有効な対抗ができない情勢です。

Cこうした情勢を正面からとらえ、指定管理者問題で関連事業所への宣伝と労働相談の紹介などの活動を行います。また、公務・民間の協力した要求運動と組織化へのとりくみを開始します。京都府内のあらゆる保育所で働く労働者へ福祉保育労と協力して、また病院職場で働く労働者へ京都医労連と協力して、要求組織と組合紹介活動をすすめます。

Dこうしたとりくみをもとに、福祉保育労と京都医労連との協力関係をいっそう強めます。共通する公務公共要求運動と、労働相談や組織拡大のとりくみなどを、三産別で協力して行うための協議を呼びかけます。

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