京都地方自治ネットレポート20060615
京都総評の最低賃金引き上げ要求書
2006年5月31日

京都労働局長
 扇 義人 様
2006年5月31日
京都地方労働組合総評議会
 議長 岩橋 祐治

京都府最低賃金額の引き上げ等を求める要求書

 貴職の日頃のご活濯に敬意を表します。
 非正規雇用労働者が急増する中、賃金の低下や賃金格差が一層拡大し、最低賃金の役割はますます重要さを増しています。しかし、現行の最低賃金は、昨年4円引き上げられましたが、最低賃金として有効な役割を果たせていません。
 現在の最低賃金は、すでに80年代はじめに生活保護の最低生活費を下回るようになる事態が続いています。私たちは、働いて得る最低限の生計費は、憲法25条の規定にもとづく生活保護の最低生活費を上回るものでなければならないと考えます。また、京都総評は、1年半かけて最低生計費試算を行いました。これは、マーケットバスケット方式にもとづいて試算したもので、京都市内在住、自動事の所有をしないなどを条件に、単身世帯と夫婦・子供2人の4人世帯等について算出したものです。この試算では単身世帯で年間2,225,112円、4人世帯で5,494,872円(いずれも非消費支出込み)となりました。単身での時間額に直した金額は1,112円(2000時間で割った場合)で、現行最低賃金がいかに低いかが、この試算からも明らかです。
 現行の最低賃金は、その水準に問題があり、少なくとも、生活保護水準以上に、緊急に改善することが必要です。さらに、生計費を無視するなどの限界を持つ現行の最低賃金制度を見直し、全国一律最低賃金制の確立が必要です。
 私たちは、2006年度の地域最低賃金の改定にあたって、下記事項の実現に向けて、貴職が努力するよう要請します。
 記
1.京都府最低賃金の改定にあたっては、生計費を基準に、健康で文化的な生活を送れる金額に引き上げること。そのため、最低生計費1,112円に近づけるために、京都府最低賃金を大幅に引き上げること。
2.産業別最低賃金については、新設要件を3分の1に緩和するとともに、金額を大幅に引き上げること。
3.全国一律の新しい最低賃金を確立するよう上申すること。この場合、これまでの最低賃金法にかわって、生計費を基本に、労資の団体交渉を軸とし、年金支給額や生活保護基準、下請単価、米価など国民生活の最低限の基軸となるようにすること。
4.労働政策審議会最低賃金部会での審議に関連して、以下の点を上申すること。
(1)最低賃金額の決定基準である「労働者の生計費」については、生活保護基準を上回ることを明確にすること。
(2)現行最低賃金法にある「類似の労働者の賃金」との表現を「労働者の一般的な賃金」に改めること。
(3)全国一律最低賃金制を法制化すること。地域別最低賃金はそれを上回って設定できることとしつつ、地域間格差を解消することをめざすものとすること。
(4)現行最低賃金法ある産業別最低賃金制度と労働協約拡張方式は廃止しないこと。
(5)最低賃金違反にかかわる罰金額を大幅に引き上げること。
(6)最低賃金法の見直しにともない、家内労働法の最低工賃額についても大幅に引き上げること。
5.単身者の課税最低限を大幅に引き上げること。最低賃金は本来最低生活費であり、課税すべきではない。当面基礎控除の大幅な引き上げなどにより最低賃金への課税をやめるよう財務省に要請すること。
6.審議会及び専門部会の全面公開、意見の聴取のための公聴会開催、議事録の全面公開等、開かれた審議会の運営を一層はかること。
7.最低賃金審議会委員および専門部会委員の選任にあたっては、各労働団体の実情にそくした割り振りにもとづき公正に任命すること。
8.最低賃金法違反をなくすため、監督行政の強化をはかり、違反是正をおこなうこと。そのため監督官など関係職員の増員をすること。
9.一般企業では安易に障害者適用除外を認めないこと。
 以上

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