伊賀上野城
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大小天守閣(68年11月)

藤堂氏の築いた上野城、今はその石垣を残すのみ。小高い丘が町の中央にある。その周り大手付近には学校が三、四校、小学校から高校まで。その学校の間を登っていく。緩い坂になっていて突き当たり、道は左右に分かれ中央に噴水が勢いよく天を突き、その石垣の上に天守の頭が覗いていた。左手に道を取る。その左手に古い門が見える。本当に門だけである。塀がない。高台に出る。二連の天守が大小二つ、石垣の上にある。白い壁にガラス窓が、なんとなくこの城に合っている。しっくりしている。本丸の石垣より下の濠を見たら、満々たる水面からの石垣の高さに恐ろしさが先にたつ。天守内への石段を登っていく。内部は檜造りで、外部のみコンクリート。実にねんの入った築城である。何でもこの天守は古の昔、藤堂氏の築いた天守閣の形とは全然関係無く、独自な新しい天守だそうである。なるほどそう言えばそうだが、でもこの城も実によく築城してある。小天守の方に「忍び井戸」がある。深く何処かと通じているのか、冷たい風が底から吹き上がっていた。(68年11月)