松本城
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天守閣群(68年9月)

松本駅からタクシーで松本城へと向かう。車は松本城址の大手門あたりの方へ。あった、あった松本城天守閣が、その広場の中央辺にある。その前に門が、どっかりと腰を据えている。二の丸らしき所は公園になっていて、きれいに整頓されている公園である。松本城と言えば、良く写真で見た、あの北アルプスの山々を背景にした、美しい天守閣を頭に浮かべてきたのに、後ろの北アルプスの山々も見えないし、この公園に蹴落とされて、あまり天守も映えない。少しがっかりした。その天守をぐるりと左回りに回る。角度が変わるたびに、天守の屋根が、窓がなかなか趣多く変わる。黒と白と赤が、緑の木々に映えて美しい。天守閣のきわまで堀の水が迫り、昔日を思い浮かべさせてくれる。搦手口より本丸に入る。外側から見る姿も良いが、本丸側から見るのもまた素晴らしい。実用的な乾小天守、渡櫓、天守、辰巳付櫓と対照的に、書院作り風の月見櫓の開放的な建物が1段と映え、その赤い手すりが美しい。渡櫓の下の入口より、内部に入る。乾小天守へ。内部の作りは、中央に物置き風に仕切りらしいものがあり、その周りをぐるっと回っていて、狭間より矢なり、鉄砲なりを打つのに、便利なように出来ている渡櫓を渡って、天守へ。五層六階のこの天守、太い柱ががっしりと立っている。一階二階と急な階段を上に昇って行く。階の作りも、みんなにている。最上階に出る。周囲を見る。アルプスの山々が遠くの方に、松本の町並みが近くの方に、実に雄大にこの松本盆地が見渡せる。天守より月見櫓へと向かう。この櫓は天守と違い、開放的な作りで、周りに手すりがぐるりと付いていて、その赤い手すりが、又一段と映えている。なにかこの手すりは、この古い作りの天守に反抗しているようで、ぴったりとこの天守に一致している。この天守群は、やはりぴったり。月見櫓の下の出口から、下に降りる。(68年9月)