和菓子


「京もの」のイメージとして真っ先に和菓子を想起する人は多いはずだが、
それには歴史的背景がある
菓子は全国各地にあるが、「菓子の本場は京都」として定着したのは江戸時代からという

禁裏(きんり)や将軍家などに納める菓子屋を「上菓子司」として定め、
その数を全国で二百四十八軒に制限し、
そのうち禁裏御用達の上菓子司をわずか二十八軒に絞ったというが、
そのかなりの部分が京の菓子屋であったらしい
以来、「京菓子」はブランド品となった



上菓子は有職故実(ゆうそくこじつ)にのっとり古式の姿を復元し、
和歌や物語などの典雅なイメージを象(かたど)る

また、季節の移ろいや歳時を意匠や銘に写す
だから京菓子は五感の全てで「おいしい1」と感じるのである
つまり、京菓子は京のエスプリ

食べる方も知性と教養と洒落っ気が問われる

意匠にしても、関東の菓子のように写実の美ではなく、
デフォルメされた形や銘から感じ取るのが京菓子
紅葉の形の菓子に「竜田姫」、鹿の焼き印が施された饅頭に「奥山」などと、
ひと捻りした銘を付ける

そのひと捻りの妙味に京都人の見識の高さと誇りまでが香ってくるようである

つづく・・・