生け垣の刈り込み

木と道具の特性を良く知って

わたしたちが新人にやらせること、それはまず掃除と草取りです
それを卒業したら、次に生け垣の刈り込みです
わたしもまだ駆け出しのころは、刈り込みばさみばかり持たされたものです

初めて刈り込みばさみを持たされ、生け垣を刈り込んだ時、
どうも刈り込み面が凸凹になってしまい、うまく平らに刈れない
何回やってもうまくいかない
そこで先輩が刈り込んでいるところをじっと見ていました
するとどうでしょう
両手で持った刈り込みばさみの右手だけが動き、
左手は動いていないのです
片刃を刈り込み面にぴたっと当てて、もう片方の刃を動かして刈り込んでいくのです
こうすれば刃先がぶれずに、均一にきれいに刈り込むことができるのです
片方の刃は定規の役割をするのですね



はじめて刈り込みばさみを持つ人は
必ずと言っていいほど両手を動かしてます
当然のことながら刃先が安定せずに、出来上がりは美しくありません
それでも多少我慢して、こつをつかむまで見守ることにしています
なぜなら、生け垣に用いられる木は勢いがあり
萌芽力があるからです
イヌツゲやカナメモチ、ネズミモチ、ヒイラギモクセイなどがそうです
これらは強く刈り込んでも、すぐ立ち直ります
つまり多少の失敗が許されるのです
これは、ここだけの話しですが・・・

ここで、生け垣の刈り込み方についてお話しします
生け垣の刈り込みは側面から行います
下から上へと刈り込んでいくのが基本
これは、木の一般的な特性として下枝の方が上枝よりも萌芽力が弱く
上から下へと刈り込んでいくと、必要以上に下を深く刈ってしまい
下枝が枯れてしまう危険性があるためです

次に天の部分、つまり上面を刈り込みます
天は水平に刈らなければなりませんので、生け垣の両端に竹ざおなどを立て
刈り込む高さに糸を水平に張り、この糸にあわせて平らに刈りそろえます

刈り込みばさみには表と裏があり、刃の反りが手前側に向くようにするのが表使いです
生け垣の側面は表使いで行いますが、天ははさみを持つ手の位置が低くなるので
裏返しにした方が水平に刈れます

また低木を丸く仕立てた玉物を刈り込む場合も
はさみを裏返しにして使うと、きれいな丸みがでます
これも道具の特性を生かした庭師の知恵なのです