庭のバリアフリー化

まず段差の解消から始める

最も身近な「屋外」の庭もバリアフリー化を・・・



日本は、世界でも類を見ないスピードで高齢化へと向かっており、
安全で安心、かつ楽しみのある老後の生活を提供していくことは、
社会的な義務となりつつあります。
公共施設や公共空間のバリアフリー化は、努力規定から義務規定へと
移行していくことでしょう。
しかし、公共の場がバリアフリー化されつつある中で、
肝心のお住まいの方はいかがでしょうか。

昨今、階段に手すりを付ける、段差を無くす、また車椅子で通れるよう廊下の幅を広くする、
という住宅のバリアフリー化は進んでいるようです。
しかし、お年寄りは屋外の生活をも楽しみたいもの。
最も身近な屋外である庭で、木々の緑に囲まれ日なたぼっこをしたり、
軽い運動をしたい。それが心身の健康に一番良いのですから。

でも案外、庭までは目が行き届かなかったなんてケースが、多いのではないでしょうか。
足腰が衰え、目も見えずらくなってきた。
そんなお年寄りにとって、ちょっと不便に思える程度のことが、
大きな障害となって立ちふさがります。
ほんのわずかな段差につまずいて骨折なんてことにもなりかねません。
ですから、庭のバリアフリー化は、まず段差の解消から始めなくてはなりません。

アプローチの階段を緩やかなスロープにすることは当然として、
飛石を無くすなど平面上の凸凹をできるだけ少なくする配慮が必要です。

目が見えづらくなった人のために、はっきりとした形とくっきりとした色使いを
考慮する必要もありますね。
芝生の中に園路を配する場合、緑とコントラストがはっきりとした
赤褐色のれんがを使うとか。また草花を育てたいなら、椅子に座って、
あるいは車椅子のままで無理なく作業できる高さの花壇を考えなくてはなりません。

庭は暮らしの中で憩いや楽しみを提供するものです。
どのようなハンディを背負った人にも、これ以上なく優しい空間でなくてはならないのです。
優しくないバリアが少しでもあれば、それを取り去る「リガーデン」が必要だと思います。

団塊の世代といわれる人たちも、そろそろ50代半ばに突入しました。
まだまだ若いと思っている皆様、月日がたつのはあっという間、
他人事ではありません。
あなたの家の庭は優しいですか?