「リガーデン」の勧め

住み手の好み、生活に合わせて



仕事柄、街の風景を見て歩くのがたまらなく好きです。
特に閑静な住宅地を歩くと、家々の塀の内側が気になって仕方ありません。
「庭師の悲しいさが」ってやつでしょうか。
いつもキョロキョロとしているので、挙動不審の怪しい人物と思われないかと、
時々心配になるのですが・・・・・・。

地方を旅行中のある朝。
ホテルの近所で散歩を楽しんでいると、どっしりした立派な古い木造家屋が、
目に留まりました。そこでついつい、「悲しいさが」が出てしまい、
塀の方に目を向けたのです。すると、どうでしょう。
アラカシ、モクセイ、モチといった常緑樹が、塀に覆いかぶさるように、
うっそうと茂り、それらに狭まれるかのように、茶色く枯れた木が数本あります。

これだけで、庭全体がどんな状態か、大体分かります。
数年前までは、立派な庭だったのでしょう。今は荒れ放題。
木は傷み、雑草は茂り、所々に鉢が転がっている。
そんな風景が目に浮かびました。
恐らく、代々受け継がれてきた和風庭園なのでしょうが、
たんすの奥の奥にしまわれ、虫に食われた流行遅れの仕立て服みたいで・・・。
これでは庭がかわいそうです。

庭が荒れるというのは、住み手が庭に関心がないからにほかなりません。
たんすの奥の服だって、ほころびを繕い生地を仕立て直せば、
装い新たな立派な服に生まれ変わります。
庭も同じです。
住み手の趣味や好み、生活スタイルに合わせて、
いかようにも模様替えできます。

わたしたちは、このような庭の模様替えを「リガーデン」と名付け、
広く提案していこうと考えています。

草花やハーブを育てたい、ガーデンパーティーをしたい、
子供が遊ぶスペースが欲しい、林の中で暮らしているような自然風の趣が欲しい、
あるいは伝統的な枯山水がいい・・・・・。
庭に対する要求は人それぞれ。
肝心なのは、住み手が生活の一部として、使い勝手が良く、
愛着が持てるような庭に造りかえることです。

何も全面改修だけではありません。
花壇を造ったら、庭に出ることが多くなった、枯れ木を撤去し新しい木に植え替えたら、
こずえを渡る風の音が耳に心地よく響いた、
こんな部分的な手直しでも、立派なリガーデンの成功例なのです。

今ある庭を見詰め直してみて下さい。
どれくらい愛着を感じられますか。