良い土とは

「まだ庭が完成したわけではありませんよ」
庭の施工が完了したときに、私は、お客さんにこう言います。
施工の完了段階では、ただ庭の形が出来上がったにすぎない。
1年、2年、3年と時を経て、木々が根付いて土になじみ、
1本1本の木がもともとその場所にあったような風情になったとき、
はじめて、庭が完成したと言えると思います。

せっかくの美しい庭も、土が悪いと時間の経過とともに木々が育たず、
台無しになってしまいます。それだけ、植物や庭にとって土は大事なもの。

それでは、良い土とはどのような土を言うのでしょう。
一口に言うと「有機物を多く含み、水持ち、水はけ、肥持ち(栄養分を長く保持する能力)、
空気の通りが良い」というのが、植物の生育に適した肥沃な土の条件です。

肥沃な土は一般に、見た目が黒くふわふわした感じがあります。
みただけで分からなければ、触ってみます。
土を手に取りぎゅっと握り、手を広げたとき、肥沃な土なら握ったままの形に残り、
ほぐせば適度に崩れます。

ほぐしたとき形が崩れず、手にへばり付いているようならば、
粘土分が多過ぎて、水はけや空気の通りが悪い土ということになります。
形が残らず、ばらばら崩れて落ちる土は砂が多く、
水持ちと肥持ちが悪い、いわゆるやせた土です。

大体、造成地に建てられたお宅の庭土は、やせているケースが多いですね。
そのような場合、土壌改良から始めなくてはなりません。
庭を造る前に、土作りをしなくてはなりません。

植物はおおむね弱酸性の土を好みます。
土が酸性かアルカリ性のどちらかに傾くと、特定の養分が吸収されにくくなります。
土壌 pHは、市販のpH 測定器を使って調べればよいのですが、わたしたちは
生えている雑草などから大体判断することができます。
例えば、カヤツリグサ、ハハコグサ、スギナ、キイチゴ、オオバコなどが
生えていたら、酸性が強いので、石灰などで中和する必要があるでしょう。

さあ、庭や花壇の土を手にとって調べてみましょう。
えっ、ミミズが出てきて気持ちが悪いって?
それなら土はOKです。
ミミズは肥沃な土にしかすみませんし、ミミズのふんが肥料となって、
土は、さらに肥沃になるのです。