12月 春日若宮おん祭 歳時記へ

解説:
 12月の奈良のイベントといえば、『春日若宮おん祭』。奈良の祭りの
中でも最も大きく、一年の最後を飾るにふさわしい祭りといって良いだろ
う。おん祭りが行われる若宮神社は、春日大社の摂社として春日山山麓に
鎮座し、春日大社からは御間道をはさんで100mほどの距離にある。か
なり近い距離にありながらも、春日大社ほどの派手さがなく、また表参道
から外れていることもあって、この神社の存在に気づく人は少ないようだ。
祭りは12月15日から12月18日までの4日間行われ、15日は御湯
立、大宿所祭、16日は宵宮祭、17日は遷幸の儀、お渡り式、南大門交
名の儀、松の下の儀、競馬、お旅所祭、稚児流鏑馬、遷幸の儀、18日に
は後宴能など、数々の行事が組まれている。また、基本的には若宮神社の
お祭りではあるが、大宿所祭は餅飯殿町の商店街で。鍋屋町の初宮神社で
は田楽座による芸能の奉納が行われるなど、奈良の市街地にまでも及んで
いる。ちなみに、お渡り式(言ってみれば時代行列のようなもの)は県庁
前を出発。近鉄奈良駅前からJR奈良駅へ。そこから三条通りをまっすぐ
東へ向かい、興福寺南大門跡から春日大社表参道(お旅所)へと向かうと
いう奈良市中心部の交通を遮断しての大がかりなものとなっている。
 実をいうと、長年奈良に通っているにも関わらず、いまだこの祭りを見
に行ったことがない。(写真は3月の春日祭のものを代用した。)
理由はいくつかあるが、その一つに見物人,観光客の多さがある。パンフ
レット,資料、特に昨年はNHKのBSでお渡り式の様子が流されたが、
どれを見ても何重もの人垣でびっしり埋まり、とても写真どころではなさ
そうなのだ。
基本的に私は人物が入る写真を嫌う。人物を入れるにしても、風景と同化
してないとシャッターは切らない。現在、奈良町を中心に人物を撮っては
いるが、それは奈良という土地に芽生えた伝統,文化、そしてそれをささ
える人々の姿がそこにあるからこそのこと。観光客がファインダーに入っ
てしまっては、どうにも話しにならない。
とは言っても、これだけ奈良を撮ってきて、この祭りを知らないのは片手
落ち。それに、実際に行ってみないことにはなにも分からない。
今年は、うまい具合に16(土),17(日)と休日と重なるので、行ってみ
るには絶好のチャンスではある。
はてさて、どうしたものか...。
毎度のことであるが、行くべきか行かざるべきか、直前まで悩むことにな
りそうだ。

            完 トップページへ