7月 雲上の北アルプス

解説:

 私のもう一つの趣味が登山である。
今から10年以上も前になるが、蝶が岳,常念岳を手始めに、双六岳、奥穂
高岳と、北アルプスの峰々を歩き回った時代があった。
「山の写真も良いかもしれない。」と始めたことであるが、カメラ機材の重
さにはどうにも勝てず、また、一時健康を害したこともあって、数年で写真
目的の登山は断念してしまった。
健康を取り戻した現在では、山の空気,爽快感を楽しむ登山、いわゆる中高
年登山の領域を楽しんでいる。

 ここに掲載した写真は、1990年、奥穂高岳に登った時のものである。

 その日の朝、穂高岳山荘は濃いガスに包まれていた。
山荘を出発して一時間ほどで山頂に到着。案の定、あたり一面乳白色の世界
でなにも見えない。「やっぱりダメか...」ほとんどあきらめ気分の私達
であった。とりあえず何枚か記念写真を収め、小休憩へ。
どのくらい経っただろうか、にわかに回りがざわめきだした。なんだろうと、
あたりを見回すと、なんとガスが吹き飛ばされていくではないか。振り返る
と、いつのまにか槍ヶ岳が...。
なんという好運。あわててカメラをセット。シャッターを切った。
濃かったガスが嘘のよう。あっという間に眼下に大展望が広がった。
北アルプスの峰々から、南アルプス,御岳,白山、遠くは富士山まで見える。
悲壮感が漂っていただけに、感激ひとしおであった。
 それまでは気がつかなかったが、ふと見ると、頂上直下から今まさにパラ
グライダーで飛び立とうとしている人がいる。「エッ! まさか。」
その“まさか”であった。タイミングを見計らって大空にダイブ。
そのカラフルな傘は見る見るに小さくなり、豆粒のようになって上高地に吸
い込まれていった。私たちは、ただただ呆然と見送るのみ。
「すごい人がいるものだ...。」
 その後、重太郎新道を下って岳沢小屋へと。小屋に着いたときには、汗び
っしょり、バテバテ状態であった。
パラグライダーがうらやましい限りであった。

写真の左端が涸沢岳。右の頂が北穂高岳か。後方には槍ケ岳が見える。

さて、今年はどこに登るか....

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