「ブラザーフッド」
2004年・韓国
148分
(監督)カン・ジェギュ
(主な出演者)チャン・ドンゴン/ウォンビン/イ・ウンジュ
「STORY」
1950年、ソウル。
ジンテ(チャン・ドンゴン)とジンソク(ウォンビン)の兄弟は、母親を支えながら、
ジンテの婚約者ヨンシン(イ・ウンジュ)とその弟妹も一緒に、貧しいながらも、家族で仲睦まじく暮らしていた。
ところが、6月25日の朝鮮戦争勃発で、何の準備もないまま兄弟は揃って徴兵されてしまう。
自分を犠牲にしてでも、高校生の弟ジンソクを守り、その将来に夢を託していた兄ジンテは、
戦場で手柄を立てて太極勲章を授与されれば、弟の除隊を認めるという上官の言葉を信じ、
命知らずの戦士へと変貌して行く。
「感想」
戦争は、貧しくても一生懸命つつましく生きている人々の生活やささやかな夢さえも
いとも簡単に奪い去ってしまう。
でも、兄弟の絆や家族を想う気持ちは簡単に奪えないと思いました。
物語は、おじいちゃんになったジンソクが、朝鮮戦争の遺骨発掘調査員から連絡を受け、
孫と共に、そこに向かうところから始まり、回想へと進んでいきます。
僕は、そのジンソクおじいちゃんを見た時に、
「このおじいちゃんは、心にどれだけの大きな傷を負って生きてきたのだろう」
と思えてきて、始まって5分ほどでジーンってきました。
この作品については、一部の映画評論家などは、
”戦争をダシにして作った泣き映画”
”露骨な泣かせ演出、オーバーアクト、音楽”
と批判的な感想を述べていますが、
僕は、この作品で戦争の悲惨さや無意味さを十分痛感したし、
兄弟愛や家族愛にも素直に感動出来ました。
この作品は、戦争映画ですが国家や軍人の目で描いた戦争ではなく
あくまでも、一般市民の目で描かれていると思いました。
だから、この戦争は、どんな目的で始まり、何を目指して戦うのかということは殆ど出てきません。
登場人物の多くは、一般市民でその人達は、
何も分からないまま、戦場に行き戦わなければなりません。
「なんとか生き延びて、一刻も早く愛する家族の元に帰りたい。」
その気持ちだけなんです。
国のため、民族のためとかいう大義などは関係無かったのだと思います。
惨い戦闘シーンも大掛かりな爆弾やミサイルではなくて
肉弾戦がほとんど。
それは開戦当時、韓国には戦車が1両も無かったという事情(韓国は貧しかった)が
あったからなんです。
敵は北朝鮮であるはずなのに、韓国内にも敵は沢山いることも悲しかったです。
戦争という極限状態では、
同じ国、同じ民族、同じ人間なんてことは関係なくなってしまう。
味方であると思っていた人間が敵になっていくということに
とても恐怖を感じました。
でも、これは戦争に限らず今の社会でも同じで
毎日のように起こっている悲惨な事件は、人間同士の出来事なんですよね。
人間は賢いのになぜ、愚かなことを繰り返してしまうのだろうか。
なんか、とても長い感想になってきましたが、
最後に、やはり俳優の感想を書いておかなければ^^;
チャン・ドンゴンもウォンビンも、ほんとに良かったです。
演技もさることながら、そのオーラに驚かされました。
二人の出演作を観るのは初めてでしたが、
映画スターのオーラが凄く伝わってきました。
チャン・ドンゴンを見ていると、
何故か、石原裕次郎さんを思い出しました。
全盛期の頃の裕次郎さんと、雰囲気が似てるんですよ。
そういえば、日本の俳優でこんなにオーラが出ていたのは
裕次郎さんくらいなのでは?
演技も凄くて、ラストでのドンゴンの演技には身震いしましたし
ウォンビンの、戦場にあって人間性を保とうとする姿とか
兄の異常とも思える行動に不信感と不安を募らせていく様子や心の成長を
見事に演じていたと思います。
脇を固める俳優も、みんなそれぞれ印象的で良かったです。
それにしても、主演の二人は綺麗です!
回想シーンの冒頭で、ふざけ合うシーンは
きれいな思い出ということもありますが
とにかく二人が格好良すぎ!綺麗過ぎ!!
特にチャン・ドンゴンは戦場では感情を押し殺していたので、
このシーンでの屈託のない笑顔が
余計に綺麗で、悲しいものに思えました。
この映画は、戦争ヒーローものではなくて、
兄弟愛、家族愛を軸にした、反戦映画だと思います。
2004/07/04 Kid