「Heaven’s Hell」


みなさんはCoccoという”うたうたい”を知っていますか?

1977年1月生まれ 
出身地 沖縄
自分のことを歌手ではなく、”うたうたい”と呼ぶ彼女は
なりたかった訳ではないが歌手をしていたある日、
自分は歌がとても好きだったことに気付く。
そして、歌手をやめた。
大好きな歌を商売にしたくなかったのだ。

故郷に帰った彼女は大好きな海が汚れてしまっていることに大きなショックを受ける。
人間が捨てたゴミは沖縄の海と共に彼女の心を痛めつけた。
でも
海をあきらめられなかった。

あきらめなかった。

自分に何が出来るのだろう。
彼女が出した答えは、ゴミを拾うこと。
約2年間、一人でゴミを拾い続けた彼女は、
一人の力では限界があることを知る。
そして、大好きな歌を通してみんなに訴えることにした。
題して「ゴミゼロ大作戦 Vol.0」
「もしも歌が届いたら たったひとつでいい、ゴミを拾って欲しい」というメッセージのもと
那覇高校吹奏楽部、合唱部と共に全て手作りの企画を立ち上げた。
2003年6月のことである。
しかし、なかなか集まらないボランティアや
コーラスの指導など沢山の苦労が待っていた。
でも、彼女は素直に泣き、笑い、気持ちを訴えた。
そして、
2003年8月15日
運命の本番が始まる。。。

彼女の活動とこの演奏会の模様は、昨年、ニュース23で特集され、大反響を呼び
完全版として発売されたドキュメントが
「Heaven’s Hell」である。

彼女の真っ直さ
純粋さ
正直さ
そして、強さに圧倒された。
海のように深い情緒を持っている人だと思った。

人前で話すのが苦手な彼女が一生懸命に人の前に行き訴えるのだが
キャシャな彼女を見ているとかわいそうになるくらいであった。
でも、その澄んだ目はいつも真っ直ぐにみんなに語りかけていた。

彼女の一言、一言が心に沁みたが
特に感銘を受けたのが、
歌手をやめた理由と
次の言葉である。

「沖縄は第三者を責めすぎである」

基地があるから・・・
オニヒトデがいるから珊瑚が死ぬ・・・。

第三者のせいにして文句を言う前に、自分から出来ることをやろう。
どこまでも沖縄を愛しているからこそ大きな意味を持つ言葉だと思う。

ラストで彼女の歌が聴こえたとき、涙がこぼれ落ちた。
そして涙が溢れ続けた。
まるで心が浄化されていくようだった。
小さな体で彼女は
ゴミ問題だけではなく、多くのことを私たちに教えてくれた。

歌は、多くの人に届き心に響いたと確信した。

「Heaven's hell」

今 やっと
首に手を掛け
やさしい話
手繰ろうと

そう あれは
終末の鐘
鳴らせ どうせ
聞こえない

あなたが
あきらめた海には
そっと星が降って
私が呼ぶ雨に
濡れても
まだ歌ってるよ

あぁ 会いたいな
 本当だよ
 届くかな
 キスを込めて

立ち入るな
風の住む丘
虹に架けた
無理な乞い

この空に
犇(ひし)めく罪を
鳴らせ 落とせ
穴だらけ

例えば
其の手を振り招き
側に居てほしいと
それでも
大丈夫だなんて
くり返すだけで

あぁ 薙ぎ倒し
 踏みつけて
 楽園に
 キスを込めて


歌い終わったときの彼女の歓喜はとてつもない大きなエネルギーの表れであったように思う。

そして、今年。
先日ニュース23で、また特集が放送された。
彼女は着実に活動していた。
「ゴミゼロ大実践」と銘打たれた活動は
2004年8月15日に沖縄県で一斉清掃を行うというもの。
昨年は子供たちを相手に直接訴えることが出来たが
今年は行政が相手。
顔が見えないという不安もあったが、
昨年よりも表情は明るかった。
絶望感が無くなった。と彼女は笑顔で話していた。
昨年のゴミゼロ大作戦を通して、多くの仲間が出来、歌が多くの人に届いたからである。

そのゴミゼロ大実践。
参加人数 1万585人
拾ったゴミの量 108t

一人が行動を起こせば、こんなにも凄いことが出来るのだと思ったが、
逆に言えば、未だにゴミは捨て続けられているのだ。
残念なことである。

最後に・・・
彼女は何故プロジェクトを8月15日に実施するのか。
それは、日本中が平和を願う日だからである。

自分は自分なりにこれから行動したいと思う。
Coccoの歌が届いたから。。。

実は、Coccoのこと。このプロジェクトのこと、ドキュメントのことも
友達から教えてもらうまで知らなかった自分。
こんな素敵なことに巡り合せてくれた友達に
ありがとう。
ちなみにその友達の誕生日は8月15日である。

2004/08/28 Kid