菊池川、悪戦苦闘

スタート前の写真◇九州自動車道・熊本ICから北へ20km。菊水ICを降りて少し西へ行くと、菊水町カヌー館がある。そこをゴール地点に、山鹿から菊池川を下ってみた。まずはカヌー館に隣接するロマン館の駐車場に車を置き、タクシーを呼ぶ(バスは一日2本だけ)。やってきたタクシーは10年落ちのブルーバード。人の良さそうな年配の運転手さんと、大阪からフェリーで来たことなどの話しをする。運転手さんは話しながらマイペースで走るので、気が付けば後ろには車の列ができていた。そのまま川原まで入ってもらい下車する。山鹿から菊水まではおよそ15km。真夏の陽射しが照り付ける中、午前11時、山鹿大堰のすぐ下からスタートした。

◇川の左岸は林になっており、右岸は田園地帯のようである。これで、綺麗な水がさらさらと流れていれば云うことはないのだが、水は全体的に茶色がかった緑〜黄緑色。ほとんど流れもなく淀んだ水は、木津川に劣るとも勝らない、いや、勝るとも劣らない汚さである。ところどころに1級にも満たない瀬と、水深が浅くライニングダウンを余儀なくさせられるザラ瀬が現れるが、川のほとんどは流れの少ない淀みであり、漕がなければ進まない。スタートから1時間少し、山鹿西部大橋の下で休憩&おにぎりの昼食。暑さと水質の悪さに、ここから下流を考えると、早くも気分は憂鬱だった。

浅瀬ではカヌーを降りて引っ張ります、こんな浅瀬がある◇そこから菰田橋までの間に小さな堰がひとつ。右岸のコンクリート護岸をポーテージで迂回する。菰田橋の前後は渇水のせいか、ファルトの底を擦りそうな浅瀬がいくつもあり、下津原付近の護岸されたところでは、ごていねいに川底に三角形のコンクリートブロックまで沈んでいる。おかげで、瀬を漕ぎぬける爽快感を味わえる場所はなく、ヌルヌルの川底に気を付けながらのライニングダウンと、流れのない淀みでのパドリングの繰り返しといった悲しい川くだりとなった。

◇スタートから4時間、そろそろゴールに近づいてもよい頃なのだが、ゴール手前の九州自動車道が一向に見えてこない。次第に水深は深く流れはほどんどなくなり、やっとのことでかまど大橋を越えるとその先ではジェットスキーが走り回っている。なるほど、川幅が広く流れもほとんどないその場所は、ジェットスキーには絶好の遊び場のようである。しかし、それはカヌーにとっては非常につまらない場所ということでもある。はるか前方にやっと九州自動車道を発見し、ゴールが近づいていることは分かったが、大人二人子供二人を乗せたカヌーは、一人のパドリング(嫁さんは疲れて休みがち)だと、漕げども漕げどもなかなか進まない。子供たちもはじめは退屈してなんやかや言っていたが、もう暑さとじっと座っていることに疲れてしまって声もない。

◇九州自動車道をくぐってすぐの内藤橋では、橋げたにたくさんのゴミが張りついている。それに気を取られていると、「ゴリッ」といってカヌーが停止した。なんと、橋の下には大きなコンクリートブロックが横一直線に沈められており、その上の水深はほんの20cmくらいしかないのである。水が汚いせいでうかつにも気付かなかったが、なんでこんなものを沈めてるんや!! これで、わがファルトにはまたもや穴が開いてしまった。

カヌー館のカヌーポートでの画像◇ここからゴールまではあと少し、のはずだが、目印の白石堰がなかなか見えてこない。菊水ICからカヌー館までクルマではすぐだったが、川を行くと思った以上に遠く、さらに30分以上漕ぎつづけて午後4時半、やっとのことでカヌー館に到着したのであった。

◇そこの芝生でファルトを片付けながら、カヌー館の人としばし話しをする。話し出してすぐ「大阪からですか?」と聞かれた。その人も以前、鶴橋あたりで住んでいたことがあるらしく、言葉ですぐに分かったとのこと。…ほんとにそげんこつすぐに分くるっとかと?
・野田知佑さんの文にも、故郷を流れる菊池川がダメになったとあるが、なるほど、これでは大阪あたりの汚い川と変わらない。カヌー館にいた人の話しでは、田植えから稲刈りまでは堰で水を止めるので、どうしても水が汚れてしまうのだという。やはり、川は流れてこそ浄化作用が働くのだなあと再確認したワタシタチであった。

 
菊池川マップ
菊池川マップ


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