仁淀川で大間違い!!

 「今度の連休どこ行く?」「いっぺん仁淀川行ってみたいなー。」と相談しているのを横で聞いていた息子が一言、「にょーどー川てどこにあるん?」……おいおい、にょーどー川じゃないよ、によど川だよ。

 てなわけで、やってきました四国・高知は仁淀川。99年5月2日早朝、中流・長畑の川原にキャンプ地を決定、早速タープを張り、トーストの朝メシを食う。今回もいつもの3家族、プラス一日遅れでカヌー初体験の1家族がやってくる予定。風は少し強いが、天気は上々、気分も上々。少しくつろいだ後、2台のクルマに分乗し、上流を目指す。

出発前の写真 川を見ながら走ること20分足らず、あれ?なんか川の中が岩だらけ、とてもカヌーできるような流れやなくなってきたぞ。〜とにかくもう少し行ってみよう…でも、ますます岩だらけ、おかしいなー?(実はこのとき、大きな間違いを犯していたのであった。)とにかくファルトで下れそうなところまで引き返し、小さな神社の横に駐車スペースと川原に出る道を発見、組み立て&空気入れにかかる。今回は、今までのファルトに加えインフレータブル(ゴムカヌー、もしくはダッキーとも言う)の新艇を導入している。そこへ近所の農家の方らしいおっちゃんがやってきた。車を停めておいてもいいか尋ねると、「ああ、ええよ。みな、ようここに停めておくき。ちょっと上にええ遊び場あるわよ。」との快い返事。うん、高知はええとこや。

 午前9時半、カナディアンとファルト、それにダッキー2艇で出発。安定性の高いダッキーの1艇は、子供ばかり3人のチームである。このダッキー、黄色い船体がまるでバナナボート。よって以後、バナナボートと命名された。(そのまんまやないかー!)

 さて、橋をくぐるとすぐに岩の多い場所があらわれた。カナディアンとダッキー2艇は流れに乗って少々の岩などものともせず下っていく。わがファルトはこういうとこ、大の苦手なのよ。少し流れの早くなったところで目の前に大岩が…どっちへ行こうかと一瞬迷ったのが運の尽き、あっという間に岩に張り付いてしまったやんかー!さらに艇内に水が入り始めたやんけー。「ちっくしょー、麻衣、岩に上がり!」と子供を岩に乗りうつらせ、嫁さんと自分はとにかく艇を降りて水に入った。胸まで浸かると5月の水はさすがに「ちめてー!!」。 さらに流れが強く、足がたたない。「どないしょー?」…こういう時は慌てず騒がず、ちゅう訳でもないが、結構冷静に岩の裏に回り込み、無人で軽くなったファルトを少しずつ引っ張り、なんとか岩からはがしたのであった。よっ、オトウチャンえらいっ!

 少し下流では、川原で何人かがファルトを組み立てていた。そこで一旦休憩。おっ、なんか面白そうな流れがあるぞ。「ダッキーで下ってみよ。」ということでやってみたらおもしろい!犬が白けりゃおもしろい!つうことで、子供も乗せて3回も下ることに。わーはは、気ん持ちええー!!

子供を乗せて瀬を下る様子チョー爽快な急流すべり

 その後も時々水面に岩が現れる適度な流れのカーブを、バナナボートの子供たちは「きゃーきゃー」云いながら、ファルトの私たちは「ひゃーひゃー」云いながら過ぎ、浅瀬でもダッキーは「ほれ行けー」ってなもんで、ファルトは「ちょ、ちょっと待ってー」ってなもんで1〜2ヶ所ガリガリいわせながらなんとか過ぎ、張り付け&急流すべり3回&必要以上の休憩タイムに思った以上の時間を費やし、正午前、キャンプ地に到着。林さんチャーハンならぬ、冷凍チャーハンの昼飯となったのである。

仁淀川の風景 ゆっくり昼飯を食った後、先ほどの場所まで車を取りに行き、そのまま下流に車を置きに行く。R194を走りながら川原に出られる場所を探すが、なかなか見つからない。どうやら、対岸に川原までの道がありそうなので、Uターンして対岸に渡り、細いくねくね道を走りながら、やっとこさ川原への道を発見。川原に車を置き、キャンプ地に帰るともう2時前。ほれ出発やー。今度は私がバナナボートに乗ってみる。これがまた、少々の岩なんか屁もでない…、ではなくて、屁でもない。ちょっとした隠れ岩や浅瀬のゴツゴツなんか、平気の屁―で越えていくのであった。こりゃなんと気楽なことか。もー、鼻歌気分で岩にガンガンぶつかりながら快適な川くだりを楽しんだ。午後3時過ぎ着岸。ちょっと短かかったなー。

 夕方は、R194で看板の出ている中追渓谷温泉に行く。これがまた、川を堰きとめたプールあり、釣り堀あり、食堂や吊り橋ありの「探偵ナイトスクープ風パラダイス」みたいなところ。でも、肝心の風呂は狭かった。また、そこに行くまでの支流の勝賀瀬川がとんでもない川。まるで護岸工法の見本市みたいな川で、三面張りの小さな川があらゆる方法でコンクリート化、人工化されている。なんだか実験台にされた生き物のようで、見ていられない川だった。温泉の後、その夜はキャンプ地でキムチ鍋。うまかったー。

 翌日、「カヌー初」の夫婦とその甥っ子姪っ子が合流。今日は岩だらけの場所は避けて、きのう急流すべりを楽しんだところから出発するつもりで、川の右岸の道路を走った。すると、なぜだか昨日の場所が見つからないまま、川はどんどん上流へ。それに岩もなく、カヌーをしている人の姿が見える。「???。」「このへん、できるんちゃう?」「でもあの岩の場所は通られへんから、キャンプ地まで帰られへんで。」と相談し、昨日の場所を探すべく対岸の道路を引き返した。すると、先ほどまで川を右に見ながら左岸を下流に向かっていたはずが、道が川からはなれた後、突然、川の流れが変わっているじゃあーりませんか!そして、そこには見覚えのある川原が…。「あー、合流か!」そーなんです。なんと、昨日は地図も見ずにR194を走っていたせいで、仁淀川の支流をさかのぼっていたのだった。

子供たちのカヌースタイルそれぞれのスタイルで出発―!

 なーんやー。でも、キャンプ地で昼飯を食べる予定で、食料を持っていないこともあり、この日は再び本流を上流へ向かうことはあきらめ、やっぱり急流すべりの地点からスタートすることに。カヌー初体験の子供たちを前にのせ、ダッキーでいきなり急流へ。「うひゃー」と言ってびしょぬれになった中一の康平は、そのあと「あー、おもしれー」とつぶやいた。昨日通ったルートなので、気楽に漕いでいると、後ろの方で「沈したー!」との声がする。なんと、子供たち3人を載せたカナディアンが岩に張り付いた後、沈したらしい。上流の岸に子供たちの姿が見えたのでほっとしたのもつかの間、「カヌー流されたー。」と叫んでいる。あわててダッキーに二人が乗り込み、待ち構えていると、裏返しになったカナディアンが水面にほんの少しだけ船底を見せて流れて来た。ロープで縛り付けていたクーラーボックスが横に張り付くように浮かんでおり、つかみ所はそこしかない。なんとかそのクーラーボックスをつかんだものの、裏返って完全に水が入った状態のフネの重いこと! もう一艇のダッキーが応援に来て、大人3人がかりで必死こいてカヌー漕いでフネを岸に着けたのだった。で、沈した御一行様はなんと対岸。まさに対岸の火事のようにその成り行きを見ていたようである。沈したのは、ノグチ家3人とカヌー初の小四の加代子、それに昨日も張り付けの目に会った麻衣。口では「ゼンゼン怖くなかったー。」というものの、麻衣なんかは、かなりまいったようであった。

 長めの休憩をとりつつ、昨日以上の時間をかけて正午過ぎキャンプ地着。昼飯を食いながらカナディアン初チンの話題で盛り上がった。……昼からは、昨日より長い距離をと、昨日の上陸地点より少し下流の沈下橋近くで川原への道を発見、車を置く。で、キャンプ地に帰り、出発したものの、昼から強い向かい風でなかなか前に進まない。特に子供ばかりのバナナボートはどんどん遅れていく。んー、ダッキーの弱点はまさにこれですなー。柳瀬本村のカーブ(ここにキャンプ場があった。)を回ったらなんとか風がおさまった。そこから楠瀬のあたりまでは適度な流れ。ただ、カーブに隠れ岩が点在し、前方注意を要する。楠瀬から西の谷の沈下橋手前まではゆっくりした流れのトロ場。ここで、競争したり流れるままのんびり休んだりしながら、午後4時上陸。「明日はもっと上流から下るぞー!」
 カヌーから見た仁淀川の風景

仁淀川の景色はこんな感じ。全体に山がなだらかで緑の色が薄い。山に多い黄色い木は、クリの木?

水は…残念ながら期待したほど綺麗ではなかった。でも、これでも四万十川より綺麗だと云う・・・。
 

 その日は、伊野町に新しくできた簡保の宿の大浴場へ。川を見ながら下流へ走ったが、西の谷から下はほとんどがトロ場で流れがあまりないようである。こりゃ、あんまりおもしろくなさそー。で、簡保の宿へ。この風呂が、広くて新しくてよかったー。暗くなってからキャンプ地へ帰り着いたが、その頃から雨が降り出した。晩飯は雨の中、おでん。とにかく人数が多いと鍋物が便利ええのだ。腹減った〜。

 3日目は昨夜からの雨が大降りになり、夜中に雨音で何度も目が覚める。自宅を出るときの天気予報では、連休後半は雨が続くと言っていた。朝起きて作戦会議。「明日も雨やったら、おってもしゃあないなー。」「雨の中撤収して、帰って次の日仕事やったらつらいでなー。」と弱気な発言が相次ぎ、午前9時、さらに激しくなる雨の中、「本日撤収。風呂入って帰る。」ということが閣議決定されたのであった。で、雨の中の撤収を敢行し、昼過ぎまで簡保の宿でくつろいだ後、渋滞の高速道路を通り、真夜中のフェリーで帰ったのである。うう、もっと上流に行きたかった〜。

キャンプ地の写真キャンプ地の風景

仁淀川マップ


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