陽春の北山川
＜はじめてカナディアン･カヌーで北山川を下ったときのレポートです。＞
初めてカナディアン・カヌーなるものを借りて、北山川へ行ってみた。４家族１６名と犬１匹ご一行様である。
この時は、瀞大橋の下流、湯の口の川原にキャンプを張って、そこから出発した。カナディアンでの川下りは初めてだが、全体的に穏やかな北山川はのんびりツーリングにはもってこいなのだ。
北山川は、奈良県の池原ダムから七色貯水池を通って、奈良県と和歌山県と三重県の県境を流れ、十津川と合流したあと、熊野川と名前を変え、和歌山県新宮市で太平洋にそそぐ。
カヌーができるのは、七色貯水池下流、ジョット船観光で有名な瀞峡のある田戸あたりからである。その上流は、小森ダムの放流で、いかだ下りをやっている、かなりの激流なので、ホワイトウオーター系のカヤックでなければ無理だろう。
のんびり北山川を楽しもう、と油断していたら、出発して一つ目のカーブを曲がったところで、一艇がいきなり粗沈。・・・カヌーに乗ったら２分でチン！ なのだった（苦笑）。 原因は、初心者であったことと、カーブで岸の岩に接触しそうになったとき、あわててパドルで岩を突いたためにバランスを崩したらしい。
仰向けになったカナディアンをもとに戻すのは一苦労。二人が水に入り、隣につけたカヌーにも手伝ってもらい、ようやく水抜きをしてカヌーを浮かべた時には、けっこうバテていた(^_^;)。
でも、そのあとはやっぱり穏やかな北山川。時々１級から２級までの瀬が現れるほかは、のんびりとした流れが続く。
そんな中で、ちょっとしたスリルというか、気が張り詰める場面がジェット船の通過。かすかにブオーをいう音が聞こえてきたかと思ったら、カーブの向こう側から目印の旗が見えてくる。「おーい、ジェット船来るぞー！」「上流からやー！」などと声を掛け合いながら、ジェット船が通過するたびに流れの端に寄ってやり過ごす。
初めて北山川を下る人には、突然現れるジェット船は恐怖なのだが、慣れてくると、のんびりした中でちょっとした気分転換となって面白い。瀬に突入する時にジェット船と出くわすと、どうしようもないんやけどね。・・・一度は瀬の突入間際、あわてて川原にファルトを寄せたら、ジェット船からの波でファルトがひっくり返り、子供とジャンプ（チワワ）が流されて、瀬に飛び込んで助けたこともあったぐらい。・・・瀬に入る前には、ジェット船が来ていないか十分確認しませう。
でも、ジェット船にも慣れてくると、観光客に手を振ったりして、それもまた楽しいもんです。
湯の口から宮井の出合いまでは、適度なカーブと両側に迫った山並みが、陸上とは隔絶された川の世界を創っていて、カヌーでないと行くことのできない川原や中洲が点在する。そんなところに上陸して、休憩したり昼飯食ったりするのが、極上の楽しみといわずしてなんといおう。ぽかぽかした初夏の日差しを浴びながら、みんなでわいわいビールを飲むことの幸福さ！ これがカヌーの醍醐味かも！・・・って、ちょっと違う？
宮井の出合い地点では、北山川と十津川からの流れがぶつかり、複雑な流れとなっている。ここは、しょっちゅう流れが変わり、すぐ下流にはちょっとした瀬もあり、油断できない場所である。また多くの日には、ここで、澄んだ緑色の北山川の水と、茶色く濁った十津川の水が混ざり、川の色の違いに驚かされる場所でもある。
合流地点の少し下流では、志古のジェット船乗り場を右に見ながらのんびり下り、この日は三和大橋の少し下流の川原でゴール。のんびり休憩しながらの半日ツアーでした。
北山川は、クルマが乗り入れできる川原があちこちにありますが、この三和大橋下流も、クルマが入れて中継地点には良いところです。
キャンプ地点の川原に戻ったら、親はビールを飲みながら、火をおこしたり食事の準備。子供たちは釣りをしたりカードゲームをしたり、好き勝手に羽を伸ばします。こういったひと時が、またええんですよねー。
そのあとはみんなで湯の口温泉に行って温まりました。温泉の後は宴会！
この日の夜は雨。おまけに風も出てきたので、タープの周りにはブルーシートを張りました。
川原で食べる食事、川原で飲むビールがまた美味い！
ちゃんとしたキャンプ場もええけど、なーんにもない、ほとんど人のいないただの川原でするキャンプはまた最高に楽しいもんです。
北山川は、流れも穏やかな上、ジェット船が通ることから、鮎釣りシーズンでもカヌーを気兼ねなく楽しめる数少ない川のひとつです。ファルトでも、カナディアンでもまず大丈夫。
南紀の山深い峡谷から、山々の中を行く穏やかな流れに身を任せていると、日常の雑事なんかすっかり忘れてしまいます。そこは、カヌーでしか行けない世界も待ってます。
楽しかった北山川カヌーも終了。帰る前の記念撮影です。
