『伊丹十三さんへ』

いわゆる邦画に目覚めたきっかけは、故・伊丹十三監督でした。
個性的で好きな俳優さんのひとりだったのですが、その彼が映画を撮る。
お父さんも有名な監督だったそうですが、私はその時代のことはもちろんビデオでも映画を観たこともなかったので、 単純に俳優・伊丹十三の作る映画が楽しみでした。
それが有名な「お葬式」
面白かったですね。それまで観たことのないタイプの映画でしたが、引き込まれました。
葬儀という特別ではないが非日常の出来事の中での人々の行動のみのストーリーでしたが、 ひとつひとつのエピソードがクスッと笑わせたり、しみじみさせたり。
善人ばかりではないが悪人もいない普通の人々の映画がどうしてあんなに面白かったのか。
それはきっと、伊丹監督自身がとっても人間が好きだったからに違いないのです。
それからつづく「タンポポ」(渡辺謙が出てたって知ってました?)から最期の「マルタイの女」まで、 かならず映画館に足を運んで見ました。
実は好きではない作品もあったんだけど、伊丹作品は映画館で観よう!と決めていましたから。
一番好きな作品は「タンポポ」いや「あげまん」かなぁ。
「マルサの女」も面白かったし、「マルタイの女」も面白かった。
渡部篤郎の出ていた「静かな生活」もよかったなぁ。
どれを一番って決められないです、ホントは。
新しい作品を撮ってくれるのを心待ちにしていたから、亡くなったときは本当に残念でした。
会ったこともない人が死んだことがあんなにショックに思うなんて。
もう新しい映画が観れないのは、私にとってはもの凄い損失のような気持ちでした。

伊丹作品を見続けている間も他の邦画には特に注目していませんでしたが、 徐々に面白そうな作品が目に付いてきて「観てみようかな」って思ったのが、 周防監督の「シコふんじゃった」でした。

2005.06.18