Tchaikovsky Symphony No.6
Piano Transcription
岡城 千歳


 

〜編曲ものはオリジナルにかなわないと思っている人へ〜

 チャイコフスキーの6番がなんとピアノ編曲で演奏されている。はじめジャケットを見たとき、一体なんなのか判らなかった。良く見ると編曲ものである。交響曲をピアノソロでやる。なるほど、それで?と思ったものだ。しかし、私はこのジャケットがとても気に入ってしまった。美しい女性が黒いスーツで 不敵な笑みを浮かべているのだ。それに惹かれてついつい買ってしまった。 帰宅してすぐに聞いて、ぶったまげた!なんというインパクトある演奏だろう。これが本当に編曲なのか?元々ピアノ用の曲だったのではないのか?と思わせるほどのものであった。
 この岡城さんというピアニストはただものではない。普通、オーケストラ用の曲となると、どうしても本来のオーケストラを意識した演奏になり勝ちである。ところが、この岡城さんはそんなことはまったく念頭にないらしく、ひたすらピアノ曲として演奏している。そこがいいのだ。しかし、すごいダイナミズムがあり、とても女性の演奏とは思えないし(岡城さん、ごめんなさい)、また、しばらく聴いていると一台のピアノであるにも関わらず、さまざまな音色が出ていることが判る。ピアノからこんなにもカラフルな音が出せるかと、思わず耳を疑うほどである。ただものではないのだ。

 この他に私が購入したものを紹介する。
・シューマンの「交響的練習曲」他を収録したもの(1993年 ProPiano PPR224501)
ジャケットの写真が美少女系でなかなかに可愛い。しかし、ジャケットの写真からは想像出来ないような強靭なタッチの音楽が聞こえてくる。すでに才能にあふれた演奏が聴かれるのである。
・スクリャービンのソナタやドビュッシーの前奏曲などを収録したもの(1994年 ProPiano PPR224502)
ジャケットの写真はまだ、あどけない感じが残っている。(何故か写真にこだわっているが・・・)。演奏はスクリャービンのソナタはこれまたいい出来である。ドビュッシーは得意の色彩豊かな演奏。最後に武満徹の作品と岡城一三さんの作品が演奏されているが、この岡城さんって何者?
・スクリャービンの作品集(1997年 ProPiano PPR224519)
「法悦の詩」の2台のピアノ版を一人で演奏したものはすごい。まるでそもそもピアノ曲だったかのよう。練習曲の出来映えも素晴らしい。ジャケット評論を忘れてはいけない。そうですね、このジャケットは眉毛がちょっと細くないですか?(笑)
・ワーグナー作品のピアノ編曲版(1998年 ProPiano PPR224521)
恒例のジャケットから。ピアノの横に立ってポーズしている茶系の写真。うーん、あまり気に入りません。
演奏は、ほほうと唸るもの。さすが。最後に演奏されているフォーレとメッセイジャーの作編曲によるバイロイトの土産というのは笑います。まるでフックトオン・ワーグナーですね。
・坂本龍一ピアノ作品集(2000年 ProPiano PPR224532)
恒例のジャケット写真は露出過多の白く飛んだもの。しかし、美人である。ま、それはよいとしてだ、演奏は初めて聞くものばかりで比較できない。しっかりした技術の裏付けがある演奏であることは間違いない。
選曲的には、いろいろなタイプのものが用意されていて、センスの良さが感じられる。また、ジャケット全体にプロピアノレーベルにしてはハイセンスにまとめられていて、ライナーノーツには日本語も見られるなど、レーベルとしての意気込みも感じられる一作。

これらすべてのCDを通して聴いてみると演奏はいずれも自信と確信に満ちたもので、その才能の豊かさと技術の確実性、そして、それを背景とした音楽性はすばらしい!の一言。ぜひ、一度は聴いていただきたい。
 お勧めは、ここに紹介したチャイコフスキーの6番(ProPianoPPR224530)とシューマンの作品を収めた(ProPianoPPR224501)である。今後も継続して聴いていきたいと思っている。

Tchaikovsky Pathetique Piano Transcription 岡城 千歳
Chitose Okasiro Piano
Petr Iiyich Tchaikovsky(1840-1893)
Symphony No.6 in B Minor,Op.74"Pathetique"
Piano Transcription by Walter Niemann

1.Adagio-Allegro non troppo(18'39")
2.Allegro con grazia(07'36")
3.Allegro molto vivace(08'14")
4.Finale;Adagio lamentoso-Andante(09'50")

Piano:Steinway D 0180
Recorded on August 10-11, 1999 at Giandomenico Studios,New Jersey
Pro Piano Records PPR224530

http://www.chitoseokashiro.com/
このサイトが岡城さん公式のサイトです。是非、訪問してください。

By Kenichi Asano Dec.2000

Index