『帳票等の保存期間』
  
 帳簿の保存期間は、企業の規模や業種等、あるいはそれぞれの文書に関する取り決めによる一般的なものと(企業独自)、法令の規定などの定めによるものとがあり、法令によるものには、法定保存期間と債権債務の時効によるものとがあります。

帳票は、従来の紙等の他、パソコン等で作成された電子的記録によるものも含まれます。
 
 
法定、帳票保存期間
 
  * 商法の保存期間 10年間
     商法第36条(商業帳簿等の保存)
     商業帳簿、営業に関する重要書類               10年間
 
  * 法人税法の保存期間  7年間
     法人税法施行規則第59条(帳簿書類の整理保存)
   a 1項1号 第54条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿及び青色申告法人の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿
 
     元帳・現金出納帳・固定資産台帳・売掛帳・経費帳等       7年間
 
   b 1項2号決算関係書類損益計算書・貸借 対照表・棚卸表など 7年間
 
   c 1項3号 証憑書類
    ・ 現金の収入支出・預貯金の預入れ引出に際して作成された書類
     領収書・小切手控・預貯金通帳・借用書等            7年間
    ・ 有価証券の取引に際して作成された書類等7年間
      有価証券受渡計算書・社債申込書等
    ・ 棚卸資産の引き渡し受入れに際して作成された書類
      請求書・注文請書・契約書・見積書・仕入伝票等         7年間
        (ただし、中小法人にあっては、 5年間)
    ・ 棚卸資産の引き渡し受入れに際して作成された書類
      納品書・送り状・貨物受領書・出入庫  報告書・検収書等  5年間
 
  * 医師法の保存期間 5年間
      医師法第24条
      診療録=カルテ                       5年間
 
  * 労働基準法の保存期間 3年間
      労働基準法第109条(記録の保存)
      労働者名簿、賃金台帳および雇入・解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類                      3年間
 
以上、法的には最低保存期間であり内部的な保存期間に於いて法的保存期間を参考にし少し長く保存する方がよい。以下がその例です。
 
一般的保存期間
 
 企業が法令等を参考にして、会社独自に取り決めをした保存期間の参考例です。
 
永久保存の帳票類
   a 会社の設立・登記に関する書類
   b 社規・社則・規定類に関する書類
   c 社史・会社案内・社報・その他重要刊行物
   d 株主総会関係書類(監査報告書も含む)
   e 株主名簿・印鑑登録簿・その他株式や株主に関する書類
   f  増資関係・社債関係・その他資本関係書類
   g 取締役会・常務会議事録・その他役員会関係書類
   h 稟議書・その他重要書類(基礎となるべき調査報告書・技術契約書)
   i  重要な契約書、各種の申請書・届書・願書類
   j  登記関係書類、特許書類、訴訟関係書類
   k 官公署の許可・免許・認可に関する証書とその関係書類
   l  外部団体や企業の認定・登録に関する証書とその関係書類
   m 外部団体加入関係書類
   n 儀典・典礼関係書類
   o 中・長期予算、年次予算および決算関係書類
   p 土地・建物・施設など固定資産関係書類
   q 経営関係統計書類
   r  労働協約関係書類
   s 従業員の労務・人事・給与・社会保険関係書類
   t  代理店・特約店協約関係書類
   u 顧客先名簿・取引先名簿
   v 生産計画書・利益計画書
   w 資産台帳・図書台帳・図面台帳・原図・設計計算書・試験報告書・研究報告書等の書類
   x その他企業にとっての重要書類
 
 
10年間保存の書類
 
   a 月次決算書、年次決算書( 貸借対照表・損益計算書など) →商法第33条および同第36条の規定並びに会社の総会議事録(本店で)→商法第2          
   b 税務関係書類
   c 機械・設備・備品の証書・それらの取扱説明書および取得・設置関係書類
   d 株主名簿書替関係書類
   e 部長会・課長会・委員会の会議議事録
   f 市場調査・販売促進・広告宣伝関係の調査・統計資料
 
 
7年間保存の書類
 
   a 経理の元帳・現金出納帳・固定資産台帳・売掛帳・買掛帳・経費帳
                     (法人税法施行 規則第59条1項1号)
   b 決算関係書類(同2号)→貸借対照表・損益計算書・棚卸表など
   c 証憑書類(同 3号)→
    ・ 現金の収入・支出、預金の預入・引出に際して作成された書類
      領収書・小切手控・預金通帳・借用書など
    ・ 有価証券の取引に際して作成された書類有価証券受渡計算書・社債申込書など
    ・ 棚卸資産の引渡し・受入れに際して作成された書類以外のもの
    ・ 請求書・注文請書・契約書・見積書・仕入伝票・納付書・送り状および、その他これに準ずる書類、これらに関して自己の作成したこれらの書類でその写し
5年間保存の書類
 
   a 証憑書類(法人税法施行規則第59条1 項号3)
     納品書・送り状・貨物受領書・入出庫報告書・検収書など
   b 会社の総会議事録謄本(写しに代表取締役の認証があるものを支店で〈本店以外の営業所で登記の有無は問わない〉)→商法第244
   c 診療録=カルテ(医師法第24条)
 
 
3年間保存の書類
 
   a 官公署関係の軽易な書類
   b 動産・不動産に関する軽易な書類
   c 税務関係の軽易な書類
   d 会計・経理に関する補助的書類
   e 契約関係の軽易な書類
   f 購入品、消耗品の受入れ・払出・保管に関する書類 
   g 規定の改廃・通達に関する書類
   h 管理・監督者の打合せ会議記録
   i 軽易な統計書類
   j 企画・広告・宣伝・市場調査などに関する日常的・軽易な書類
   k 文書の受発信記録
   l 業務日報・週報・旬報
   m 数次の参照の必要性が見込まれる受発信文書
   n 製造・技術に関する軽易な書類
   o 営業・販売に関する軽易な書類
   p 部門業績評価に関する書類
   q 提案制度関係書類
   r 役員・社員の異動・給与・労務・福利厚生に関する一時的な権利義務の行使の関係書類
                                        
1年間保存の書類
   a 来客記録
   b 催事出品承認申請書
   c 株主総会委任状
   d 警備業務のうち物品持出簿
 
 
* 廃棄する帳票作成          
廃棄する書類は保存期間終了後、廃棄書類場所に一年間おき廃棄する等のマニュアルを作成し廃棄する方がよい。廃棄とは元に戻らない。
                                    以上