NS-2に対して廉価版のNS-2Jという位置付けではあるが、日本国内に於いては後藤次利氏の使用機種ということもあってか人気の高いモデルである。3年の製造期間中に僅か276本しか製造されておらず、マニアも垂涎の1本であることは間違いないようだ。
入手当時はフロントピックアップが故障していたり、ヘッドのロゴシールの印刷が消失しかけていたりとリペアしがいのある状態だったが、トラスロッドを含むネックの状態が良好だったことが一番の収穫である。
ピックアップはいったん現行のEMG SJに換装したが、やはり拘ってeBayにて同年代のキャラメルバック(茶色樹脂封入)を入手。また、ヘッドロゴもしっかりと復元した。
形状が同じながら、NS-2と比較するとかなりの相違点が見られる。もっとも違う部分はNS-2がスルーネックなのに対してNS-2Jはボルトオン(デタッチャブル)ネックという点。スルーネック構造はボディーと一体になっていることから、製造時にかなりの手間が必要となりコストアップとなる。逆にボルトオンであれば最終の組み込みまでボディーとネックを別々に仕上げることが出来るので、ハンドリングの問題やスペース的な問題も含めて行程を簡素化できコストダウン出来る。細かい部分にも相違点は見受けられ、ヘッドロゴはNS-2がシェルのインレイに対してNS-2Jはシールが貼られているだけ。このシールが劣化してロゴが消えてしまうという現象が起こるのだ。またNS-2のクラウンインレイ(ドットのモノも存在する)に対してNS-2Jのドットポジションマーク、NS-2がパーフェロー指板に対してNS-2Jはローズウッドを採用するなど、随所にコストダウンの痕跡を見ることが出来る。ただし楽器としての完成度は維持されていて、弾き具合や音色にコストダウンの影響を感じることはないように思う。
その他ハードウエアに関しては、バダスブリッジ、シャーラーM4、HAZ LAB.プリアンプなど、 NS-2と同じグレードのモノが使用されている。ピックアップはEMGのJJタイプだが、前後共にフロントサイズのSJが使用されている。実はEMGのLJとSJは形状がよく似ているが、LJはバー状のコイルが1個に対して、SJは2個のコイルが低音弦側と高音弦側に1つずつ並べだスプリット状に配置されている。このことから音色については通常のJJタイプとは微妙に異なるように感じる。
重量は4.0Kgとプリクレよりも軽量で、ボディーバランスも良好。弾き心地は細いネックのお陰で、プリクレとほぼ遜色もなく非常にプレイヤビリティーに優れている。音色はやはりEMGらしく独特の透明感があって素晴らしい。
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