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デュランダル durandal

ジュワユースの項でも登場したフランク王国のシャルルマーニュ大帝。
彼の臣下、特に「パラディン」と呼ばれた12騎士のうちの一人、ローランの所持したとされる名剣です

ローランは体が大きく、勇猛果敢で誇り高く、人を疑うことを知らない「武人の鑑」と言われたほどの男でした。

デュランダルは、シャルルマーニュがフランク王になったばかりの頃、ローランが天使より授かりました。
ローランはこの剣をシャルルマーニュに献上しましたが、この剣のすばらしさを一目で分かったシャルルマーニュは、この剣をそのままローランに授けたのです。
「デュランダル」と言う名前は、そのときにシャルルマーニュによって命名されました。

シャルルマーニュが、まだイスラムの配下にあったスペインに遠征したときのこと。
激しい戦いを圧し勝っていたフランク軍ですが、シャルルマーニュはイスラム軍と休戦する決意をします。
このときに休戦の交渉に向かう騎士を選定する会議が行われたのですが、危険な任務なために立候補する人物はいませんでした。
そこでローランは、この任務には力より知恵が必要だと思い、策士として知られる叔父のガヌロンを推薦します。
シャルルマーニュはこの意見を尊重し、ガヌロンを死者として任命しました。

ところがガヌロンは、自分を死地に追いやったとしてローランを逆恨みします。
イスラム本軍へ向かったガヌロンは、イスラム王と内通し、休戦したと見せかけて撤退するフランク軍を待ち伏せさせました。
フランク軍へ戻ったガヌロンは、ローランを殿(しんがり)に推薦し、疑うことを知らないローランはこれを快諾。
他の12騎士と共に軍の最後尾を行きました。

ローランの軍隊がピレネー山岳地帯に入ったとき、ガヌロンの策略どおりにそこにはイスラムの大軍が待ち伏せていました。
ローランの親友オリヴィエは、ローランにシャルルマーニュに救援を求めるように言いましたが、ローランはこれを拒否。激しい戦いが始まりました。

3倍近い兵力差があったにもかかわらず、ローランの軍は奮戦し、勝利するかに見えました。
ところが、イスラム王は自軍の危機を知ると、全軍でローランの軍と戦うことを決意。

多勢に無勢、流石のローラン軍も多くの損害を出し、12騎士も一人、また一人と倒れていきます。
ローランはついに、自軍の全滅をシャルルマーニュに伝えようとしましたが、今度はオリヴィエがそれに反対。
戦いの最中に口論する二人に、別の味方が「どうせ全滅するならば知らせればいいだろう。王は弔い合戦をしてくれるはずだ」と進言し、オリヴィエもこれに納得。
ローランは角笛を吹いてシャルルマーニュにこれを知らせます。

イスラム王もこの角笛を聞き、援軍が来ると悟り、自軍を退却させます。
浮き足立ったイスラム軍に突撃したローランの軍は激しく戦いますが、味方はどんどん失われてしまい、最後にはローラン、オリヴィエと先ほど二人を仲裁した騎士の3人のみとなりました。
やがてその騎士もオリヴィエも討ち死にし、ローランただ一人が残されました。

ローランも満身創痍であり、自分が死んでもデュランダルだけは渡すまいと小高い丘に駆け上がり、そこにあった大理石に剣を叩きつけます。
ところが剣は刃こぼれ一つせず、逆に大理石は真っ二つになってしまいます。
彼はこれを3回繰り返しますが、ついに剣を傷つけることはできず、押し寄せるイスラム軍と最後まで戦いました。