アクセシビリティを考える上で重要なことは、「常に弱い立場のことを考える」ことである。
文字の大きさや画面のコントラスト、ページ構成等を「弱い立場」を中心に考えることで、結果的に誰にとっても使いやすいページを作成できることとなる。
Webのデフォルトの配色は、多くは白地に黒いテキストだが、これだけだとどうしても味気なくなってしまう。
こういうときは、背景やテキストに色をつけるのが一般的だが、このときも注意が必要だ。
背景色とテキストの色(前景色)のコントラスト(色の強さ)が低いと、テキスト自体が読みにくくなってしまう。(そもそも白と黒は、最高にコントラスト比が高い組み合わせである。)
配色一つでWebサイトの雰囲気はガラリと変わるが、その際にテキストと背景色のコントラストも考慮するべきである。
また、通常のテキストと特殊なテキスト(ハイパーリンク等)は色で区別する方法もある。
テキストの色を変えている場合は、Topページで「青色のテキストはリンクです」などと明記するのも良いかもしれない。
だが、テキストの強調目的で、リンクしていないテキストに色をつけるなどの行為を行った場合、逆に閲覧者を混乱させる可能性がある。
強調目的であれば、色を変えると同時に太字で表示させる、下線を表示させる等の区別をするべきだろう。
上記全てを簡単にチェックする方法に、「グレイスケールチェック」というものがある。
その名のとおり、Webページをグレイスケールで表示させてみてチェックする方法である。
代替テキストとは、Webページに画像を配置した際、何らかの要因で画像が表示されない場合に画像の変わりに表示されるテキストのことである。
W3CのWebコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン1.0(Web Content Accessibility Guidelines 1.0 - WCAG 1.0)でも優先度1とされている。
具体的にはimgタグの中にalt属性で指定する。
「適切な」というのは、たとえばペットの白猫の写真を表示させたとして、代替テキストが「写真」では何のことだかわからない。
「ペットの写真」では幾分かマシだが、そのペットの種類がわからない。
「ペットの白猫の写真」とすれば、一目で何のことだかわかるだろう。
ここで一つ注意してもらいたいのが、テキストをあまり長くしすぎないことである。
あくまで代替であって、説明でないことに留意していただきたい。(説明をする場合は、title属性などを使うとよいだろう。)
本文中のテキストに、表示目的だけで強制的にスペースや改行を挿入するのも避けたいところだ。
視覚的には問題ないかもしれないが、たとえば「information」と言う単語を「i n f o r m a t i o n」とスペースを加えてしまうと、「アイ、エヌ、エフ、オー・・・」というふうに、音声リーダでは一文字ずつ読みあげられてしまう。
また、単語中に強制改行を入れて「三重‹br /›県」や「宮城‹br /›県」とすると、それぞれ「さんかさねけん」「みやしろけん」と読み上げられてしまう。
音声リーダでこのように読み上げられるということは、ブラウザ側はそれぞれを一つの単語として認識していることになるので、結果としてSEO等に重大な影響がでることとなる。
記号の使い方も注意したい。
〜は「から」と読まれるし、機種依存文字は環境によってはなんだかわからないものになってしまう。
また、視力の弱い人や解像度が高くて文字が小さく表示されている人に配慮し、フォントサイズは可変にすることが重要だ。
フレームを利用しているサイトは、条件付では非常に便利ではあるが、フレームが利用できない環境、あるいは検索エンジンなどで直接コンテンツページに飛んで来た閲覧者にとっては非常に使いづらいものとなる。
音声リーダやテキストブラウザを使用している人にとっては、フレーム構造は全く意味のないもの、それどころかブラウジングの障害となるものとなるという認識を持っていただきたい。
また、SEOという観点からも好ましくなく、XHTML 1.1ではフレームは廃止されることとなっていることも留意していただきたい。