56番  金輪山(きんりんざん)  泰山寺(たいさんじ)  勅王院(ちょくおういん)

【場所】〒794-0064 愛媛県今治市小泉1-9-18
【交通】JR予讃線今治駅からバスで約8分の「小泉」バス停下車、徒歩で約8分。
【車】55番札所(南光坊)を右に出て、約550m先の大丸デパート手前の交差点を右折して、約2.8Km走り、小泉バス停のあるT字路を右折して、約600m56番札所(泰山寺)。
【タクシー】日の出タクシー:0898-22-1415、瀬戸内タクシー:0898-24-2000
【電話】0898-22-5959
【宿泊】宿坊あり(要予約100人)、今治ステーションホテル:0898-22-5340、カドヤ別荘:0898-55-2310、ますや旅館:0898-53-2104
【宗 派】真言宗醍醐派
【本 尊】地蔵菩薩(座像24寸、弘法大師作)
【開 基】弘法大師
【御詠歌】みな人の、まいりてやがて泰山寺、来世のいんどう、たのみおきつつ
【拝観日】2012227日(月)
【解 説】
 広大な田園の中に高い石垣の上に白い塀で囲まれたお寺で、石段を上がっていくと、正面に宿坊、納経所があり、右側に大師堂(写真1)、左側に鐘楼、左側奥に本堂(写真2)がある。石垣は、非常に新しく、平成12年(2000年)に改修された。また、大師堂は、昭和60年(1985年)に建立されたものである。
 鐘楼のそばに、「不忘の松(わすれずのまつ)」がある。弘法大師が一寺を建立された際のお手植えの松で、もとは大師堂のそばにあったが、昭和57年に枯れてしまい、今は3代目の松である。この松は、葉先が3つに分かれている珍しい松で、「三鈷の松(さんこのまつ)」といわれており、中国の西安から持ち帰った種が芽を出したもので、ここで大切に育てられている。三鈷とは、知恵、慈悲、真心を表し、この松の葉を持っていると、三つの福を授かると云われている。また境内には、金剛力士像、白壁塀の外には、6体の仏像が並んでいる。また、本堂横に、びんずる尊者像が鎮座している。
 弘仁6年(815)、弘法大師がこの地 へ来錫(らいしゃく)された時、丁度梅雨時期であったため長雨が続き、蒼社川(そうじゃがわ)が氾濫し、人命を奪うため、「人取り川」 と呼ばれていて、農民たちは大変苦 しんでいた。これを見られた弘法大師は、村人たちを集め、堤防を築かせて、これが完成すると、川原に壇を築いて、土砂加持(どしゃかじ)の秘法を修められた。そして満願の日に、空中に地蔵菩薩が現われ、大師はその姿を延命地蔵菩薩像として刻み、堂宇を建て、本尊として安置された。
 寺号は、延命地蔵経十大願の第一「女人泰産」から寺名をとって泰山寺と名付け、第56番の霊場に定められた。秘法を修められたところに記念として、松を植えられた。これが、「不忘の松(わすれずのまつ)」である。
 その後、天長元年(824)には淳和 天皇の勅願所となり、七堂伽藍をかまえ、塔中十坊を持つ大寺となったが、度重なる兵火により、その規模は小さくなり、金輪山の山上から山麓の現在の地へ移築された。今は1坊も 残っておらず、お寺の近くに阿弥陀寺、十輪寺などの地名だけが残っている。

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(1)大師堂

(2)本堂