◎ ダマスカス鋼と日本刀 ◎


 ★ ダマスカス鋼とは ★

 ダマスカス鋼(ダマスカス鋼(Damascus steel)を、私なりに調べそれを基に考察した結果を報告します。
 ダマスカス鋼と呼ばれる鋼は、木目状あるいは柾目状の模様を特徴としている鋼であり、古代インドで開発
 製造されたウーツ鋼の別称である。ダマスカス鋼と称する名の由来はインド産のウーツ鋼を使用してシリア
 のダマスカスで刀剣などに鍛造されたことから、この名がついた。現在は異種の金属を重ね合わせて鍛造し
 模様を浮かび上がらせた鋼材などもダマスカス鋼と呼ばれている。代表的な鍛造の例をあげれば、日本刀、
 包丁等である。
 ダマスカス鋼はその強靱さ、切れ味のよさに加えて錆びにくい特徴があり、また表面に浮かぶ優美な波紋から
 神秘性をもち11世紀から13世紀の時代には、身分のステータスとして扱われていた。また近世においては
 ダマスカス鋼は刃物用材として広く使用されいる。因みに日本刀の刃は、ダマスカス鋼より硬い。

 ダマスカス鋼は19世紀に生産が途絶えたため、現在は製造技術が失われている。しかしダマスカス鋼の製法を
 色々研究する中で現代のステンレス鋼が開発され、鋼の歴史の中で重要な位置づけをされている鋼材でもある。
 本来のダマスカス鋼は溶解させた鋳鉄をるつぼの中でゆっくり冷却しながら凝固させます。その際に内部結晶
 作用により融点の違う鋼が別々に結晶化したことにより模様が発生した鋳鉄である。

 現代のダマスカス鋼は一般的に鋼等の異種金属を鍛練し鍛接することによって人工的に模様を生じさせた材料
 の総称となっている。この模様は特に炭素含有量や鋼材等の硬度の違いから発生するものです。模様の出し方
 にも色々な方法があるようです。この異種金属を鍛練する中で、金属組織が均一化され不純物が減少すること
 により、非常に純度の高い刀身を作る事が出来ます。よって現代でも刃物用材料として使用されています。

 日本は、古来より日本刀の鍛え等で、異種金属の鍛練によって作る製法が有ります。特に日本では
 この鍛練について、世界でも稀に見る技術を誇っています。また日本刀の切れ味に関しても世界で
 非常に高い評価を受けてます。

 ☆下図を見てもらえば、包丁の図と実際の日本刀の図で日本刀もダマスカスの製法と良く似ている。日本刀も
 ダマスカス製法の一種である事が解かります。☆







 ★ 日本刀の品格 ★


※  私なりに調べて分かってきたのは、日本刀の地刃の働きは、鉄をよく鍛錬(精錬)する程綺麗な地肌になるようで、
 よく精錬された玉鋼で造られた現代刀や江戸時代の刀と鎌倉時代の刀を比較すると、現代刀や江戸時代の刀剣は、良く
 鍛えられ詰まれ無地風や小糠肌が多く見られ綺麗な地肌の刀剣が多い反面、働きに欠けて面白味がなくなるようです。
 鎌倉時代の刀は、どれも個性的な地鉄が多く地刃の働きは、豊かで良い景色を見てとれますが、地肌は特に綺麗とは言
 えない刀が多く見受けられるように思います。



※ 私見ですが、私なりに日本刀の良し悪しの判断は下記のようにして決めようと思っています。

  第① 刃は白く匂いは深く地刃が冴えていることー名刀の基本と思っています。
  第② 地は黒く少し青みがかり、地景が良く入り地肌に潤いがあること。地肌に潤いがあると何とも言えない艶がでる。
  第③ 相州伝の働きは、控えめに地景・砂流し・金筋が入り、備前伝では、足・葉が入り金線・砂流しは、自然に少し
     控えめに入っていれば良とする。
 ※結論 :金筋・金線・地景を刀剣の地刃に無理に出そうと思えば異種の金属を混ぜて鍛錬・鍛接すればでる事が分かった。
 何故このような事を書きたいと思ったのは、最近刀剣の価値が派手な金筋等の現れている刀がもて囃されているが上記に
 書いたように異種の金属をわざと混ぜ合わせ鍛接・鍛錬している作品を稀にですが見かける事がありました。ダマスカス
 鋼風に見えて刀の品格に乏しいと感じます。

 このような風潮が蔓延すると日本古来の製法の玉鋼に無理に異種金属・例えば電解鉄やピアノ線等を混ぜて金筋・地景を
 現わしている刀剣もあるようです。よって鍛錬の結果、自然に控えめに品の良い地刃の働きの作品が最上作であると私は
 思います。

 趣味の領域であるのでいろんな見方も意見もあるでしょうが本来の日本刀を愛でたいものである。

 因みに左図の画像は自然に現れた金筋(細い線を金線と呼ぶ)と見て取れる。
 このような日本刀の地刃が好きである。

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