◎ 日本刀の価格を決める要素 ◎

刀剣の価格を再度確認のため書物を色いろ調べてみて下記のように整理しました。愛刀家の皆様は、健全な刀剣価格を調べ、参考にして
自分なりに納得のいく価格を算出してください。古来の名著本や時の権力者、代々刀剣鑑定家の大家である本阿弥家の極め、による所や
江戸時代中期(鎌田魚妙・かまた なたえ)によって作られた刀の番付等でほぼ決まっている。この格付けランクは、ほぼ現代まで通用し
ている。後は、その時代その時の風潮や嗜好・景気・不景気の相場によって価格は変わる。                    -

 ☆ 健全な刀(基準価格) ☆ 寸法・形状による価格のダウン率☆

古刀、新刀、新々刀、現代刀に分けて定寸で在銘、正真、生ぶ茎、姿形、上研磨以上の健全で傷、欠点等が無い最上作の刀剣を基準価格
として決められています。                                                 -

    二尺三寸~二尺五寸位までを定寸として計算する。

 1:定寸  刀・太刀  二尺三寸~二尺五寸位まで(69.7~75.8㎝) 定寸価格(基準価格)とする。
 2:長寸  刀・太刀  二尺八寸位以上(84.8㎝) 定寸価格×0.8位
 3:短寸  刀・太刀  二尺以上~二尺二寸位(61.0㎝~ 66.7㎝) 定寸価格×0.6~0.8位
 4:脇差        一尺四寸位~二尺未満(42.4~60.6㎝ ) 定寸価格×0.4~0.6位
 5:平作り小脇差    一尺二・三寸位(36.3㎝・39.3㎝) 定寸価格×0.5位
 6:短刀        一尺未満(30.3㎝) 定寸価格×0.6位

 ☆ 寸法・形状による計算例:定寸(200万円)と仮定して長寸(85㎝)の価格は、200万円×0.8=160万円となる。

 ☆ 追加の説明 ☆ 寸法・形状による価格のダウン率☆

 刀身に生ぶの彫り物があれば 3~5割増し 例えば彫物で有名な・一竿子忠綱・虎徹・等がいます。なお彫の中でも浮彫・櫃彫・欄間
 透かし彫・がある物は5~10割増しとなるが、これはあくまで有名な彫り物師の手によって彫られた物のみに該当します。    -

 古刀に関しては、多少の砥ぎ減りやあまり目立たぬ傷等は、容認されている。有名な古刀等においては、短刀のみに銘が有り太刀等
 には銘がない・この逆もある。無銘物が多いので、その作柄の特徴(地刃の働き・波紋・造り)で有名刀に極められ価格も高価にな
 る物もある。重要刀剣以上や国宝になっている物もある。                                 



 ☆ 欠陥のある刀 ☆ 欠陥による価格のダウン率

〇 刃切れ、刃区おくり、摺(磨)り上げ、研ぎ疲れ、刃ぶくれ、地ぶくれ、鍛え割れ、朽ち込み、肌荒れ、匂ぎれ、焼きくずれ等々。〇

1:刃切れ 基準価格×0.8
2:刃区おくり : 摺(磨)り上げ 基準価格×0.5
3:研ぎ疲れ 基準価格×0.8
4:刃ぶくれ、地ぶくれ 基準価格×0.5~0.2
5:鍛え割れ(地割れ:刃割れ) 基準価格×0.5~0.2
6:朽ち込み 基準価格×0.5~0.2
7:肌荒れ 基準価格×0.4~0.2
8:匂ぎれ 基準価格×0.1
9:焼きくずれ 基準価格×0.4~0.15

※ 上記の表は(刀剣要覧)と(日本刀の買い方)を参考にして記述しました。

    ※下記に書いている説明は、「寸法・形状 」と「欠陥のある刀」の二点に留意して刀剣の価格を算出します。            

    例えば定寸で欠陥のない刀で、400万円と仮定します。その刀と同じ銘で少し区送りされている刀の価格を出すには、次のようになる。
    400万-(400万×0.5)=200万 これに茎が錆びて大きな朽ち込みがあれば 200万-(200万×0.5)=100万 100万位になる。
    しかし出来の良い作品であればもう少し価格はプラスされます。例えば前述の価格に対し→ 100万×(1.2)=120万 このプラス1.2 は
    出来の良さで大きく左右されます。あくまで参考の値と考えてください。また健全な刀でも出来が普通であれば価格は下がるし良ければ
    上がる。価格を決めるのは、微妙に難しいのでこれは目安とします。いずれにせよ趣味で買うのですから自分が納得すればそれで良いと
    思いましょう。※朽ち込み、肌荒れ、地刃のふくれ、鍛え割れ、等は程度によりダウン率に(0.5~0.2)差があるので注意を要する。-

下記の図も上記の表に連なる。

 ☆(欠陥のある刀:表2の説明図)茎は古刀より持つ人の好みや使用の事情により色々加工してきた経緯が有り、
  摺り上げや区送り等が有ったので図と文で解説をします。                        


① 生茎(うぶなかご) 制作当時のままの状態。
② 区送(まちおくり) 刃の部分を上に摺り上げてはいるが茎尻は生(うぶ)のままの状態。
③ 摺(磨)上げ 刃の部分も茎尻部分も摺り上げているが銘は残っている状態。
④ 大摺(磨)上げ 刃の部分も茎の部分も大きく摺上げて銘も残っていない状態。
⑤ 折り返し銘 刃の部分も茎部分も摺り上げているが銘は、折り返して残した状態。
⑥ 額銘(がくめい) 刃の部分、茎部分も大きく摺り上げていて、銘の部分を切り取り、
 銘を嵌め込んだ状態。

※ 現在の刀剣価格の具体例 ※

 刀剣の価格は昭和50年前後が最高値で推移し昭和54年代位から下落傾向になり、それでもまだ現在よりも
随分高値で止まっていた。平成元年~平成20年頃までは少し下がり気味であったがまだ高値であった。
H23年~H28年にかけ急に価格が下がり始めたのです。特にH28年は下げが顕著である。これは若者
(特に男性)の刀剣離れや、刀剣を手放す高齢者の増加による刀剣の余剰に起因するようである。


☆作品の出来の良さにもよりますが平均すると下記のように集約します。☆
※ 具体例

肥前国忠吉(特別保存刀剣) 10年前 売値 → 680万円前後   現在 → 350万円前後
越前守助広(特別保存刀剣) 10年前 売値 → 800万円前後   現在 → 400万円前後
津田助直 (特別保存刀剣) 10年前 売値 → 250万円前後   現在 → 170万円前後
水心子政次(特別保存刀剣) 10年前 売値 → 180万円前後   現在 → 100万円前後
井上和泉守国貞(特別保存刀剣) 10年前 売値 → 500万円前後   現在 → 300万円前後
言之進照包(重要刀剣指定)  10年前 売値 → 800万円前後   現在 → 500万円前後

☆ 逆に価格が騰がった刀剣もある。例えば新選組 副長 土方歳三の人気でその所持刀である11代兼定とか清麿門下
であり兄の正雄(真雄)は自身の荒試をした実績の評判で価格が上がった。

※ 具体例
11代兼定(特別保存刀剣) 10年前 売値 → 120万円前後 現在 → 200万円前後
源正雄(特別保存刀剣)  10年前 売値 → 230万円前後 現在 → 300~450万円前後

取りあえず、思い出した物だけを列挙しましたが、良く調査してから随時アップして行きます。

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