永遠に生く

 天上への道

 一、生きとし生けるもの、すべてこれ神のみ心ならざるは無し。
 故に、己が命の尊さが程に、他の命も亦尊きなり。
 されば、虫けら一匹と雖も損傷なさんは、神をないがしろに致す事なり。
 己が命を大切に思ふ如く、他の命をも大切に致すべし。
 これ、神のみ心に添ひ奉る事にして、神への道の第一歩なり。

 二、己が心に悪念あらば、相手如何なる善人にても、悪念を呼び起さしむるなり。
 それは、己が心の相手の心に反映致すが故なり。
 されば、毒蛇、毒虫の類も、己が心に悪念なくんば害する事あたはず。
 これ一切、皆神仏の現はれなるゆえんなり。
 相手の姿は、己が心の鏡に映りしものと知るべし。

 三、幸なるかな、不具の子をいとほしめるもの、そは、天国への道しるべなればなり。
 不具者とは、親、先祖の、不具なる心を身に現はして、悟らせ給はる神の姿なり。
 親は不具なる子の姿を見て、己が心の罪、汚れ、この子に背負はす不憐さを、
 身に味はい懺悔なすべし。

 四、苦難の道険しくば、険しき程に、天国への道は近づけるなり。
 天国に入る道は険しく、いと狭きなり。
 されば、身を縮めて小となし、地に這ひつくばりて、下座の心とならざれば
 入る事あたはず。

 五、今、正に天より下る火の粉の雨、身に降りそそぎて、大火傷なし、
 阿鼻叫喚の巷と化せん一瞬前なり。
 当に、衆生大火に焼かるるも、我がこの土は安穏なりと、宣ひしみ仏のみ言葉、
 拳々服膺致すべし。

 六、人は人、己れは己れ、それぞれの役目役目を大切に、
 立場、立場に生きてこそ、一大調和の大円満体なり。
 他を嫉み、羨やみ、欲しがる要なし。
 自他一体なれば、他人は即ち己れなり。己れは即ち他人なり。
 他人の栄誉は、即ち己れの栄誉なり。己が恥辱は他の恥辱なり。

 七、慈母の涙の尊さは千金の価あり。
 それ、慈母の涙は一切の罪、汚れをば洗ひ清むるものにあり。
 尊きは、命にかへて我が子を思ふ母の心なり。これ観音の慈悲なればなり。
 子は親の心の影と、我が子の為に懺悔なす母の姿は観世音なり。
 この観音の慈愛こそ、我が子をして、一切の悪より救ひ出す力なり。

 招かれて 今日九重に昇りゆく
 此の世のつとめ終へて安けく

 相なくて 相はあらじとみ仏の
 諭し給へる相とならばや

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