永遠に生く

 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあり

 救ひとは、己れを捨つる事なり。

 汝が、神道、仏道と、分けへだてして、いづれの道を選ぶべきやと迷ふは、
 己れ、己れと、己が身の安住のみを思ふが故なり。

 己れを捨て切れ。

 己れを捨て切って、人を救はんの一心とならば、神道でも、仏道でも、
 どちらでも良いではないか、救へる法で救へばよいのぢゃ。

 水におぼれる者を救はんが為に、飛び込もうか、舟を出さうかと、
 思案してゐる間に、おぼれ死んでしまっては何にもならぬ。
 どちらでも手早く救ひ出せる方法で、只救へばよいではないか。
 あれこれ迷って、思案するは、先づ己が身の安全を考へるが故なり。

 己れを捨てて、人の身を思ふ事、これが信仰なのだ、己が例え、地獄に落ちても、
 人さへ救はれれば、方法はどちらでも良いではないか。
 これが、正しい神仏への道なのだよ。
 迷ふは、己れの我欲故なり。

 
弘法大師より賜はりし御霊歌

 立ちさわぐ 心の迷い静めなば
 神も仏も只一つなり

 神あれど 仏は別と思ひ分く
 そのいはれこそ迷いなりけり

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