永遠に生く

 母乳の真価

 昨年、染色体異常児として生まれました男児、消えさうな命を、
 やうやうに取り止めまして次第に発育して参りますも、
 その児の母たる人が母乳不足で人工栄養のみに頼らうとしますので、
 何とかして少しでも母乳を飲ませて上げ度いと念願いたしました時、
 その母親に申し聞かせてやれと仰せられまして、次の様なみ教へを賜はりました。

 母乳は、白い血なり。
 乳、とは即ち血、血なり。
 生命なり。愛なり。

 母乳を飲ませると言ふ事は、母の生命を注ぐ、と言ふ事なり。
 母の命より分れ出で来りし児は、愛の現はれなり。
 されば、この愛を以て育てゆく事こそ、最大の児の滋養なり。

 何故人工栄養などで児を育てて、その児に、真の愛を注ぐ事が出来得様か。

 母の胎内に居ると等しく、赤子は母の血(乳)を吸ひてこそ、
 真の生命、即ち愛の誠で成長いたし、愛ある人と成りゆくものなり。

 愛の血(乳)即ち、母の生命を以て成人致すが故に、
 真の愛を身に着けて成人なし、親への愛、即ち、孝を知る者と成りて、
 親への恩返へしもなさねばならぬと、自然に魂に植ゑつけられるものなり。

 これより始まりて、人への愛、神への感謝も、自ら湧き出づるものなり。

 されば、三ツ児の魂百まで、と申す如く、赤子の時より注ぎ込まれたる、
 母の愛は、その子の魂の奥深くにまで、根となりて張りめぐらさるる故に、
 成長致す程に大と成りて、遂に、人と成りては、その心の愛を、
 仕事に、家庭に社会に現はし得る者となるなり。

 これ、神の子たるの実相顕現なし得る証拠なり。

 かくしてこそ、母たるの役目は果されたりと申すものなり。

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