天印
天印
 
 
平成元年6月4日、照真正道会の聖堂落慶法要式典が、行われました。
 その当時、私は東京で、妻と娘と3人で暮らしていました。
 私は母が病弱であった為、幼少のころから祖母である光照先生に育てられました。

 光照先生が、一心に信仰に打ち込んでいらっしゃる姿を傍らで見ており、
 私自身も霊体験が多く、目に見えない世界に興味はありましたが、
 宗教団体に入信して信仰することには関心がありませんでした。

 聖堂の落慶法要式典には、お祝いに参列したのですが、そこで初めて、
 立派に建立された聖堂を見、式典の中で流されたビデオ《聖地に高く》を観て、
 光照先生の真剣な思いに触れ、私の心に熱い思いがこみ上げてきました。

 そのビデオには、光照先生をはじめとし、信者の皆さんが、幾多の苦難の中、
 一心に聖堂建立の祈願をし、奉仕されているその姿が描かれていたからです。

 東京ではサラリーマンとして、平穏に生活をしていたのですが、
 一切を投げ捨てて神戸に戻り、光照先生の元で皆さんと共に、
 この聖堂で信仰しようと思いました。

 東京の住居や仕事の整理をして、半年後、神戸に戻り、
 まず、家族を養うため仕事を探し始めました。
 しかし、30歳にもなると、なかなか転職は難しく、
 気に入った仕事が簡単には見つかりませんでした。

 とりあえず、近くの工場でアルバイトを始め、その後、正社員になったものの、
 東京ではそこそこの地位や待遇が築けていたことを思うと、仕事に身が入らず、
 やがて休みがちになり、少しうつ状態になり始めていました。
 『仕事も面白くないし、信仰も中途半端だし、何のために神戸に
 帰ってきたのだろう、、、』と理想と現実の狭間で、心揺れる毎日を
 過ごしていました。

 そんなある日の朝、仕事に行くと言って家を出たものの、会社には行かず、
 近くの公園でベンチに座ってうなだれていました。
 心は虚ろで、生きる気力さえ失くしかけていました。
 そんな状態で、ふと空を見上げると、光なのか雲なのか、太陽の周りに白い輪が
 二重に現れ、その中に五芒星の印【】が現れてきました。
 それから、四方八方に光の筋が広がっていったのです。

 幼少のころから霊的なものを信じていたので、何か意味があると思って
 手帳に書き写しました。
 家に帰ってその印を光照先生に見てもらうと、「これは照真正道会の正印よ」
 と言われ、どういう意味があるのか観音様にお聞きになられました。

 照真正道会の正印の蓮の花ひとつひとつは、正法行者を表しており、
 『その行者の心が正法弘通に向かって一つになった時、大いなる仏力が発揮され、
 光明があまねく一切照らしゆく』という意味があり、空にその正印が現れたのは、
 『照真正道会が、天界、仏界に認められた証拠である』と教えられました。

 そして、私がその天印を見せられたのは、ふがいない私を初心に戻し、
 叱咤激励するためだったのです。
 そう聞かされ、つまらないことで悩んでいたことが一気に吹き飛びました。
 それ以後、いかなることがあっても生涯かけて観音様の手足にならせて頂こうと
 決定しました。
 あの日、公園で何気なく見上げた空の天印こそ、
 私の信解を深める観音様のお手配であったと感謝しております。
 合掌



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