同行二人錫杖の響き
錫杖

 当寺院では、毎年、弟子一同にて四国八十八か所御霊場の参拝に行っておりました。
 参道を進む時には1列、時には2列と列を組んでお参りします。
 30人から40人で列を組みますので、1列の時はかなり長い列になります。
 そして合掌して「南無大師遍照金剛」と御法号を唱えながら進みます。
 この古式の参拝作法は今ではとても珍しいので、外国の方などは写真を撮ってしまわれます。

 さて、この参拝中に一番後ろから錫杖の音がしてきます。
 まるで御法号に合わせるが如くです。
 錫杖とは、銅や鉄などで造られた頭部の輪形に遊環が6個または12個通してあり、
 それを振ると、音が出る様になっているものです。

 みんなで不思議に思い後ろを振り返りますが、誰も錫杖を持って、振っている人はいません。
 またしばらく進んでいきますと、同じように錫杖の音が「シャン、シャン、シャン」と聞こえてきます。
 後に観音様から「空海御大師様が御同行して下さっておられるのです」と啓示がありました。

 四国霊場参拝の度に、この錫杖の音は鳴り続けましたが、
 旅の御加護とお導きを頂いているのだと、いつも感謝に満ちてご参拝させていただきました。


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